セッション情報 一般演題

タイトル

末梢血幹細胞移植後に発症し、治療に難渋した急性化膿性膵管炎の一例

演者 藤森 尚(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科)
共同演者 大塚 理恵(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科), 立花 雄一(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科), 中村 太一(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科), 松尾 享(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科), 大野 隆真(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科), 河邉 顕(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科), 五十嵐 久人(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科), 伊藤 鉄英(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科), 高柳 涼一(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科)
抄録 【はじめに】慢性石灰化膵炎患者において、膵石嵌頓による閉塞性膵炎はしばしば見られる病態である。しかし実際に尾側膵管内の膵液に感染を併発し、膵管炎を呈したとする報告は極めて少ない。今回、末梢血幹細胞移植後に閉塞性膵炎を発症し、内視鏡的ドレナージにて膿性膵液の排出を認めた、いわゆる急性化膿性膵管炎の一例を経験したので報告する。
【症例】症例は53歳、男性。48歳時に急性膵炎の既往がある。急性骨髄性白血病に対する末梢血幹細胞移植目的に当院血液・腫瘍内科に入院となった。移植前検査にて膵頭部、体部に多数の石灰化及び主膵管拡張(4mm)を認め、慢性石灰化膵炎の状態であった。2008年6月、HLA-DR 1座不一致の同胞をドナーとする同種造血幹細胞移植が施行された(day0)。移植後に皮膚GVHD、HHV-6脳炎に伴う痙攣重積発作、出血性膀胱炎等を発症し、一時人工呼吸管理されるなど、PS2~3と不良であった。同年9月(day75)に慢性膵炎急性増悪を発症するも保存的に軽快した。その際主膵管拡張は12mmと増悪していた。11月(day140)に再び急性増悪を発症。左前腎傍腔まで炎症が進展し、保存的治療に不応のため、内視鏡的膵管ドレナージを施行したところ、白濁した膿性膵液が排出され、急性化膿性膵管炎と診断した。後に膵液及び血液中から多剤耐性のS.maltophilia、及び腸球菌が検出された。ENPD施行にて発熱、腹痛等の臨床所見及び炎症反応は著明に改善した。その後EST、EPSTにて分離開口を行い、膵管炎は一旦沈静化した。ENPDチューブは抜去していたが、12月(day170)に膵管炎が再燃したため、再びENPD施行し、その後胆管ステント、膵管ステント留置にて内瘻化した。2009年1月(day200)、胆管炎にて胆管ステントを交換した。その後胆管炎、膵管炎再燃は認めなかったが、原疾患再発にて永眠された(day215)。
【まとめ】免疫抑制状態下に発症し、治療に難渋した稀な急性化膿性膵管炎の一例を経験した。
索引用語 膵管炎, 慢性石灰化膵炎