セッション情報 |
研修医発表
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タイトル |
盲腸癌の卵巣転移によりMeigs症候群を発症した一例
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演者 |
日高 康太郎(公立学校共済組合 九州中央病院 外科) |
共同演者 |
池部 正彦(公立学校共済組合 九州中央病院 外科), 伊藤 修平(公立学校共済組合 九州中央病院 外科), 姉川 剛(公立学校共済組合 九州中央病院 外科), 皆川 亮介(公立学校共済組合 九州中央病院 外科), 長谷川 博文(公立学校共済組合 九州中央病院 外科), 北村 昌之(公立学校共済組合 九州中央病院 外科), 中守 真理(公立学校共済組合 九州中央病院 病理) |
抄録 |
【緒言】Meigs症候群は卵巣腫瘍に胸水・腹水を合併し、腫瘍の摘出により劇的に改善を認める症候群である。原因となる疾患は主に卵巣原発の良性腫瘍であり、転移性卵巣腫瘍からの発症は稀とされる。今回、盲腸癌の卵巣転移によりMeigs症候群と考えられる経過を示した症例を経験したので報告する。【症例】67歳女性。心窩部痛にて近医受診し右下腹部痛の腫瘤を指摘され当院内科受診した。精査にて盲腸癌と診断され、当科にて右半結腸切除術施行した。最終診断ではSE N1 P0 H0 M0, StageIIIa,ly0,v2 であった。術後化学療法としてS-1療法施行したが発熱、下痢等の有害事象を認め中断していた。術後5ヶ月目に腹部膨満感を自覚し、腹部エコーにて腹水貯留を認めた。穿刺施行したところ、細胞診はclassIIであった。その後体重も1ヶ月で2kg増加を認め、また、呼吸苦・胸水貯留も出現したため8月に緊急入院となった。胸腔穿刺にて400mlの胸水を吸引したが細胞診ではclassIIであった。腹部CTにて骨盤内に16cm大の内部不均一な嚢胞性腫瘤を認めた。多量の腹水貯留を認め、一部大網の肥厚も認めたため腹膜播種の可能性が考えられた。両側肺野にも多量の胸水を認めた。胸水・腹水の原因として胸膜播種、腹膜播種によるものが否定できなかったが、細胞診陰性であり原発性あるいは転移性卵巣腫瘍によるMeigs症候群の可能性も考えられたため開腹手術の方針となった。開腹時、腹水2800mlを認めた。下腹部から骨盤腔内を占める腫瘍を認め、左卵巣由来と判明した。摘出した腫瘍は多嚢胞性であり内部にはジェル様の内容物の充満を認めた。腹腔内に肉眼的に明らかな播種は認めなかった。病理診断では高分化腺癌であり盲腸癌転移と考えられた。術後は胸水・腹水の再貯留は認めず、合併症もなく退院となった。現在、肝転移に対して外来化学療法中である。【考察】本症例では腹膜播種も疑われたが、卵巣腫瘍の摘出により胸水・腹水が消失し、QOLが著明に改善した。転移性卵巣腫瘍によるMeigs症候群は稀な病態だが報告例も散見される。胸水、腹水貯留を伴っていても細胞診が陰性である場合は、卵巣転移に対して卵巣摘出術が必要である。 |
索引用語 |
Meigs症候群, 卵巣転移 |