セッション情報 研修医発表

タイトル

十二指腸乳頭部腺腫の一切除例

演者 河野 幹寛(新日鐵八幡記念病院 外科)
共同演者 北川 大(新日鐵八幡記念病院 外科), 大峰 高広(新日鐵八幡記念病院 外科), 大田 隆司(新日鐵八幡記念病院 外科), 田中 旬子(新日鐵八幡記念病院 外科), 園田 幸生(新日鐵八幡記念病院 外科), 丸山 理一郎(新日鐵八幡記念病院 外科), 牧野 一郎(新日鐵八幡記念病院 外科), 山村 晋史(新日鐵八幡記念病院 外科), 安蘓 正和(新日鐵八幡記念病院 外科), 東 秀史(新日鐵八幡記念病院 外科)
抄録 症例は42歳男性。心窩部痛を主訴に前医を受診し、上部消化管内視鏡で乳頭部腺腫を指摘され、精査加療目的に当科紹介となった。身体所見では腹部で心窩部痛を認めた以外特記事項はなかった。血液検査では血算・生化学・凝固に特記すべき異常を認めず、腫瘍マーカーも正常範囲であった。上部消化管内視鏡では乳頭部に不整な隆起性病変を認め、腫瘍と十二指腸壁との間は可動性良好であった。生検ではtubular adenomaの診断であった。EUSでは低エコー腫瘤が十二指腸内腔に乳頭状に発育し、SM・MPの層構造は保たれており、共通管・乳頭部胆管・膵管に明らかな浸潤所見を認めなかった。ERCPでも胆管・膵管に異常所見を認めなかった。CT・腹部エコーでは転移を疑う所見は認めなかった。以上より明らかな悪性所見は認めなかったが、腺腫にmalignant potentialがあるため局所切除は必要と判断し、十二指腸乳頭部切除術を施行した。Kocherの授動術にて十二指腸を脱転し、十二指腸下行脚を縦切開し腫瘍を確認した。腫瘍と正常粘膜の境界を確認しながら、電気メスにて腫瘍を切除した。胆管断端と膵管断端を十二指腸粘膜と結節縫合し膵管チューブを膵管内に留置した。十二指腸切開部を縫合し手術を終了した。肉眼的には腫瘍の残存は認めなかった。しかし切除標本では、口側のlaterel marginで腺腫を認め、標本中央部では一部に深部に及ぶ不規則な乳頭状構造がみられ、悪性を完全に否定できなかった。Papillotubular adenoma with severe atypiaと最終組織診断された。組織診断にてlateral margin陽性、高度構造異型を認めており、術後厳重なfollow upが必要と考えられたが、現在のところ再発は認めずに経過している。今回我々は術前biopsyではadenoma,most likelyであったため縮小手術を行ったが、切除標本ではadenoma with severe atypiaであった十二指腸乳頭部腺腫の一切除例を経験したので、若干の文献的を加え報告する。
索引用語 十二指腸乳頭部腫瘍, 病理