セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
クローン病の小腸病変に対するマルチスライスCTによるCT enterographyの有用性
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演者 |
野崎 良一(高野病院 消化器内科) |
共同演者 |
大湾 朝尚(高野病院 消化器内科), 松岡 健三(高野病院 消化器内科), 坂田 玄太郎(高野病院 消化器外科), 福永 光子(高野病院 消化器外科), 山田 一隆(高野病院 消化器外科) |
抄録 |
【緒言】クローン病(CD)における小腸病変の評価にはこれまでX線造影検査が主に用いられてきた。しかし小腸造影検査では腸管内腔や壁外の観察ができず、検査に苦痛を伴うことも少なくない。最近ではダブルバルーン小腸内視鏡も登場しているが、検査に長時間を要し、苦痛を伴うことも少なからずみられている。またカプセル内視鏡もCDの確診例には原則禁忌とされている。マルチスライスCT(MSCT)によるCT enterography(CTE)の小腸病変描出能に対する有用性について検討した。【対象および方法】再燃増悪、イレウス、瘻孔形成などが疑われる活動期のクローン病20例(小腸大腸型14例、小腸型6例)。そのうちイレウス合併6例、手術療法施行10例。内視鏡検査を行わないでMSCTによるCT撮影を行い、CTE画像を構築した。可能な限り全小腸にわたって3D-MPRを構築し、これらの所見を1画面で再構築(curved MPR)して小腸病変の評価を行った。原則として腸管洗浄液による前処置は行わなかった。ガストログラフィンなどの腸管造影剤を使用しなかった。【結果】1)内視鏡検査、造影検査を行えないイレウス合併症例で小腸病変の評価、周囲組織へ炎症の波及の描出が可能であった。特に高度の狭窄と口側腸管の拡張例では明瞭に病変を描出できた。2)Curved MPRによって小腸病変を3次元的に腸管内腔、壁外の両側から把握することが可能であった。3)術前評価として小腸の切除範囲の決定や残存腸管の推測にも有用であった。4)病変部位(縦走潰瘍、壁硬化、偏側性ひきつれなど)のcurved MPの再構築は比較的容易であった。回腸末端より回腸を平均59±33cmの長さ明瞭に描出できた。5)腸管の走行が複雑な症例では全小腸にわたってcurved MPRを再構築することが困難であった。【結論】CTEはCDの小腸病変の評価法として今後有用な検査法となると考えられた。 |
索引用語 |
クローン病, CT enterography |