セッション情報 パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療

タイトル 肝PD11-5:

門脈圧亢進症治療における部分脾動脈塞栓術(PSE)の意義

演者 谷合 信彦(日本医大・外科)
共同演者 吉田 寛(日本医大多摩永山病院・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【目的】門脈圧亢進症治療における部分脾動脈塞栓術(PSE)の意義を検討した.【方法】PSEの手技は血管造影にて脾動脈分枝を確認し、マイクロカテにて分枝を一本一本を1mm片のジェルフォームにて塞栓をしている。塞栓物質はマイクロコイルを一時使用したが、追加治療の困難さ、コストパフォーマンスなどから従来のジェルフォームに戻した。PSEを139例155回に施行した.脾摘は血液疾患を中心に52例に施行した.治療目的,血小板数,肝機能の推移,合併症を検討した.さらに孤立性胃静脈治療においてB-RTO+PSE 20例とB-RTO単独例16例の門脈圧の変化,胃静脈瘤の消失率,食道静脈瘤の新生/悪化率,追加治療率を比較し,PSEの門脈圧低下効果を検討した.【成績】PSEは男:女70:69,年齢59.6歳.50例にHCCを合併し,Child A 33例,B 50例,C 56例であった.術前血小板は6.4 X104/mm3で術後2週間12.4X104/mm3,2年9.1X104/mm3と術前より有意に上昇した.術後2週のAlb,Ch-E,PTは術前より低下したが,術後2年で有意に上昇した.合併症は発熱,左側腹部痛は90.3%,83.9%であったが,門脈血栓症,脾膿瘍はなかった.一方,脾摘は男:女24:28,年齢45.9歳。全例Child Aであった.術前血小板は10.2 X104/mm3で術後2週37.7X104/mm3,2年25.8X104/mm3と前値より有意に上昇し,PSE例より有意に高値であった.術後2週のAlb,Ch-E,PTは術前より低下したが2年で前値に復し,PSE例に比し有意に高値であった.合併症は門脈血栓症15.4%に認めた.B-RTO+PSE併用例の門脈圧は術前29.4mmH2Oから術後31.3mmH2Oと変化し,単独例は24.5mmH2Oから31.8mmH2Oと併用例は単独例に比し,有意に圧の上昇を抑えた.胃静脈瘤の消失率は併用例75.0%,単独例37.5%と有意に併用例が高かった.食道静脈瘤の新生/悪化は併用例では15.0%,単独群68.8%と有意に併用例は低く,追加療率は併用例15.0%,単独例50.0%と有意に併用例が低かった.【結論】PSEは脾摘に比較し手技も簡便で,重篤な合併症もなく,門脈圧亢進症に有効な治療法であると考えられる.
索引用語 PSE, 門脈圧亢進症