セッション情報 一般演題

タイトル

小腸転移を来たしたstage4A肝細胞癌の一例

演者 中鋪 卓(長崎大学病院 消化器内科)
共同演者 三馬 聡(長崎大学病院 消化器内科), 川本 真規子(長崎大学病院 消化器内科), 松崎 寿久(長崎大学病院 消化器内科), 竹下 茂之(長崎大学病院 消化器内科), 村岡 徹(長崎大学病院 消化器内科), 秋山 祖久(長崎大学病院 消化器内科), 小澤 栄介(長崎大学病院 消化器内科), 宮明 寿光(長崎大学病院 消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院 消化器内科), 水田 陽平(長崎大学病院 消化器内科), 國崎 真己(長崎大学病院 腫瘍外科), 日高 重和(長崎大学病院 腫瘍外科), 七島 篤志(長崎大学病院 腫瘍外科), 安倍 邦子(長崎大学病院 病理部), 林 徳眞吉(長崎大学病院 病理部), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科)
抄録 症例は60歳男性。B型・C型慢性肝炎の診断でIFN治療されHCV-RNAは陰性化していた。平成18年12月腹部CTにて肝S7/8に径13cm大の肝被膜下に出血を伴う肝腫瘍を認め、肝静脈内腫瘍塞栓(Vv2)、リンパ節転移も認められた。肝細胞癌(stage4A)の診断で平成19年2月当院紹介受診。当科入院の上TACEによる加療を計4回施行。平成20年2月肺転移巣、脳転移巣が認められ、3月より化学療法および肺と脳の転移巣に対し放射線療法を開始。治療効果は良好で、7月には脳転移巣は消失、肺転移巣も縮小、原発巣のviable lesionも認めず、AFP 273ng/ml、PIVKA2 175mAU/mlであった。しかし、9月より全身倦怠感自覚とともにAFP 1163ng/ml、PIVKA2 476mAU/mlまで再上昇。脳、肺の転移巣増大、骨転移の所見はなく、画像上はTACE後の肝腫瘍辺縁にviable lesionを認めるのみであった。10月TACE施行後も腫瘍マーカーは低下せず、退院後も全身倦怠感は持続し、血液検査にて貧血の進行が認められた。これら精査目的にて11月下旬当科再入院。進行性の貧血、黒色便も見られた。上下部消化管内視鏡検査にて異常は認められず、小腸内視鏡検査にて空腸に出血を伴う粘膜粗造な隆起病変が認められ、生検にて肝細胞癌と診断された。平成21年1月15日当院腫瘍外科にて小腸切除術施行。術中所見では腹膜播種は見られず、腹水細胞診も陰性であった。切除標本にて粘膜面から漿膜直下まで索状配列を示す腫瘍細胞が増殖しており、脈管内にも腫瘍細胞の浸潤が認められた。初診時、静脈腫瘍栓を伴う巨大肝細胞癌に対しTACEを行い、肺・脳転移にも化学療法、放射線療法を行ったが、2年の経過で空腸に転移を来たした症例を経験した。肝細胞癌の小腸転移は非常に稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝細胞癌, 小腸転移