セッション情報 一般演題

タイトル

成人発症の溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発した腸管出血性大腸菌O-157感染症の1例

演者 千代永 卓(済生会熊本病院 消化器病センター)
共同演者 塩屋 公孝(済生会熊本病院 消化器病センター), 尾崎 徹(済生会熊本病院 消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院 消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院 消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院 消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 井上 浩伸(済生会熊本病院 腎泌尿器センター), 副島 一晃(済生会熊本病院 腎泌尿器センター), 町田 二郎(済生会熊本病院 腎泌尿器センター), 副島 秀久(済生会熊本病院 腎泌尿器センター)
抄録 症例は75歳、女性。5年前に十二指腸乳頭部癌にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受け、その後はテガフール・ウラシルを内服中であった。平成20年12月に下腹部痛および血便にて当院を受診した。血液検査にて炎症反応の上昇(白血球数:21000/μl、CRP:1.6mg/dl)を認めた。下血に対し緊急大腸内視鏡検査を行い、横行結腸までの観察で、易出血性の浮腫性発赤びらんを全周性に認めた。CTでは上行結腸から横行結腸を中心に、全周性の浮腫性壁肥厚および周囲脂肪織濃度の上昇が認められた。出血性大腸炎として入院の上、絶食管理とした。入院後より徐々に腎障害の進行および血小板数の減少、LDHの上昇が認められ、軽度の精神神経症状が出現した。便培養にて0-157が検出され、Vero toxin(VT2)陽性が判明、それに伴うHUS発症と診断した。血液濾過透析および血漿交換を3日間行い、DIC・重症感染症に準ずる治療を開始した。その後は血液透析およびFFPの投与を行い、血小板は1万/mm3までの低下を認めたが、血小板輸血は施行せずに16万/mm3までの自然増加を認めた。全身状態も徐々に改善し、血液透析も離脱し、入院40日目に退院となった。その後の経過は良好である。今回我々は成人発症のHUSを併発したO-157感染症を経験したので、文献的考察を加え報告する。
索引用語 溶血性尿毒症症候群, 腸管出血性大腸菌