セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | バルーン下逆行性経静脈的塞栓術で治療した膵頭部癌による胃静脈瘤破裂の一例 |
演者 | 野間 栄次郎(福岡大学筑紫病院 消化器科) |
共同演者 | 蓑田 竜平(福岡大学筑紫病院 消化器科), 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院 消化器科), 光安 智子(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院 消化器科), 馬場 崇徳(福岡大学筑紫病院 消化器科), 戸原 恵二(福岡大学筑紫病院 消化器科), 東原 秀行(福岡大学病院 放射線科), 境 隆暢(福岡大学筑紫病院 放射線科), 光藤 利通(福岡大学筑紫病院 放射線科) |
抄録 | 症例は66歳男性、主訴は吐血。2008年7月17日膵頭部に5cm大の腫瘤を指摘された。腫瘤は腹腔動脈や門脈本幹、脾静脈に浸潤し高度狭窄をきたしており、肝右葉にも転移を認め膵頭部癌と診断された。この時の上部消化管内視鏡検査では噴門部から胃底部にかけてF1の静脈瘤認めred color signやerosionは認めなかった。食道静脈瘤ははっきりしなかった。外来でジェムザールとTS-1による化学療法が開始となった。その後腫瘍サイズは若干増大しているものの脈管への浸潤は大きな変化はなかった。2009年2月2日洗面器2杯分の新鮮血吐血あり緊急入院となった。意識は清明、血圧140/70mmHg脈拍80/分、Hbは4日前の採血が8.4g/dLで入院時が6.0g/dLであった。上部消化管内視鏡検査ではLg-cfの静脈瘤からoozingしており出血源と考えた。形態自体は増大した印象はなかった。同部にEVLで一時止血し同日にバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を施行した。この時点で門脈本幹は完全閉塞の状態で腹腔動脈からの造影で後胃静脈や短胃静脈を介して胃静脈瘤が描出された。左腎静脈にカニュレーションすると根部で分枝する2本の副腎静脈が描出された。各々の副腎静脈は多数のshuntを形成しており、その主だったshuntをコイル塞栓したのちオレイン酸モノエタノールアミン注入した。胃静脈瘤内の血流が低下したため翌日確認造影行い治療終了した。その後、造影CTでも胃噴門部付近の血流は低下し、上部内視鏡検査でも胃静脈瘤の消退傾向を認めた。膵癌に合併した胃食道静脈瘤破裂はまれに遭遇するが治療法は確立しておらず、今回B-RTOにて大きな合併症もなく止血効果を得ることができたので報告する。 |
索引用語 | 膵癌, 静脈瘤 |