セッション情報 一般演題

タイトル

急性腹症で発症しγグロブリン製剤が著効した腸間膜脂肪織炎の1例

演者 藤原 省三(国立病院機構 大分医療センター 外科)
共同演者 前原 伸一郎(国立病院機構 大分医療センター 外科), 中村 俊彦(国立病院機構 大分医療センター 外科), 廣重 彰二(国立病院機構 大分医療センター 外科), 田原 光一郎(国立病院機構 大分医療センター 外科), 牛島 千衣(国立病院機構 大分医療センター 外科), 木戸 晶孔(国立病院機構 大分医療センター 外科), 穴井 秀明(国立病院機構 大分医療センター 外科)
抄録 腸間膜脂肪織炎(mesenteric panniculitis)は原因不明のまれな非特異性炎症性疾患であり、確立した治療法はない。また急性腹症で発症することもあり、汎発性腹膜炎の診断で試験開腹されたとの報告もある。今回われわれは、急性腹症で発症しγグロブリン製剤の投与により保存的に治療しえた腸間膜脂肪織炎を経験したため、文献的考察を加え報告する。症例は患者30歳代、男性。3月初旬より発熱、関節痛、寒気あり前医受診。扁桃炎として治療を受けた。第3病日に腹痛出現。腹部CTが施行され小腸の拡張と腸間膜脂肪組織濃度上昇を指摘された。同日、当院外科紹介緊急入院した。入院時、臍周囲に圧痛と反跳痛を認めた。また39℃台の発熱を認めた。入院時血液生化学検査では白血球10370/mm3、好中球89.9%、CRP 18.44mg/dlと炎症反応を認めた。腫瘍マーカーはCEA、CA19-9ともに正常であった。血液培養検査は施行し後日、結果が陰性であると判明した。腸間膜脂肪織炎または何らかの腹腔内感染疑いと診断した。入院当日より絶食、点滴とし、抗生剤(FMOX2g/日)を投与した。しかし、その後も3日間、39℃から40℃の高熱とCRPは最高で28.31mg/dlと高度の炎症反応の持続を認めた。入院3日目より抗生剤をMEPM 1g/日に変更。またγグロブリン5g/日、3日間の投与を開始した。γグロブリン投与直後数時間より解熱傾向を認め、腹痛も次第に軽快し始め、投与後3日目に平熱となった。投与後5日目には白血球は正常になりCRP 3.81mg/dlと著明な低下を認めた。その後、軽度の肝機能検査異常を認めるも全身状態良好で、入院後14日間で退院した。
索引用語 腸間膜, 炎症