セッション情報 一般演題

タイトル

慢性石灰化膵炎の経過観察中に発症した膵癌の1症例

演者 大野 隆真(九州大学大学院 病態制御内科学)
共同演者 松尾 享(九州大学大学院 病態制御内科学), 伊藤 鉄英(九州大学大学院 病態制御内科学), 仁保 宏二郎(九州大学大学院 病態制御内科学), 五十嵐 久人(九州大学大学院 病態制御内科学), 河邉 顕(九州大学大学院 病態制御内科学), 中村 太一(九州大学大学院 病態制御内科学), 藤森 尚(九州大学大学院 病態制御内科学), 立花 雄一(九州大学大学院 病態制御内科学), 高柳 涼一(九州大学大学院 病態制御内科学)
抄録 慢性石灰化膵炎における膵癌の合併は数%前後と報告され、密接な関連性があると考えられており、注意深い経過観察が必要である。今回我々は慢性石灰化膵炎診断から13年の経過観察中、血糖コントロール不良を契機に発見された膵癌の1例を経験したため報告する。症例は63歳男性。1995年より慢性石灰化膵炎と糖尿病にて当科通院中であった。経過中に慢性膵炎の急性増悪にて入院歴あるも、定期的に腹部超音波検査と1-2年毎の腹部CT検査にて膵の画像評価を行っていた。また、HbA1c 5.8~6.4%で推移していたが、2008年6月より血糖コントロール不良となり、腹部CTにて膵頭部に辺縁が後期相で濃染される25mm大の腫瘤を認めた。MRIでも同様の所見を認め、炎症性変化や膵癌が疑われた。9月のHbA1c 8.6%、全身倦怠感も出現するようになり、また、腫瘍マーカーの上昇も認め、精査目的で当科入院。体重減少は-8kg/2年であった。入院後、画像にて膵病変は軽度増大し、EOB-プリモビストMRIやPETにて肝S2、S8に1cm大の転移を認め、stage IVbで化学療法を行うこととなった。10月17日からTS-1(120mg)単独投与を開始され、癌性疼痛に対しオキシコドン開始され、退院。その後の経過は、疼痛コントロール良好で、腫瘍マーカーは著明に低下し、画像上、12月腹部CTで膵主病変は軽度縮小、肝転移巣は縮小し、2月CTで肝転移巣はほぼ消失している。化学療法開始後、現在外来にて経過観察中である。今回我々は慢性石灰化膵炎の13年間の経過観察中に、血糖コントロール悪化と体重減少、全身倦怠感を主訴として画像上鑑別が困難であった膵癌の1症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 慢性石灰化膵炎, 膵癌