セッション情報 一般演題

タイトル

高脂血症や薬剤性が原因と考えられた重症急性膵炎の1例

演者 小林 起秋(熊本大学医学部消化器内科)
共同演者 成田  礼(熊本大学医学部消化器内科), 庄野 孝(熊本大学医学部消化器内科), 田中 秀紀(熊本大学医学部消化器内科), 武末 吉広(熊本大学医学部消化器内科), 牧 曜子(熊本大学医学部消化器内科), 村尾 哲哉(熊本大学医学部消化器内科), 松本 浩一(熊本大学医学部消化器内科), 横峰 和典(熊本大学医学部消化器内科), 桜井 宏一(熊本大学医学部消化器内科), 佐々木 裕(熊本大学医学部消化器内科)
抄録 症例は32歳、男性。既往症として30歳より統合失調症疑い(精神神経科加療中)、高脂血症がある。平成20年5月腹痛、背部痛を主訴として近医に救急搬送。検査の結果、急性膵炎(旧重症度判定基準にて重症度スコア1点、Stage1)と診断され入院。翌日症状増悪し(重症度スコア4点、Stage2、CT gradeIV)、重症急性膵炎の診断となり、同日当科紹介入院。重症度スコア8点のためICU管理となった。入院後、絶飲食、大量補液、蛋白分解酵素阻害剤・抗菌薬・PPI投与等の保存的加療にて経過観察した。経過中呼吸状態悪化のため人工呼吸管理となるも、以後は次第に病勢改善傾向であり、第14病日ICU退室。成分栄養剤の経腸栄養を経て経口摂取を開始したが、症状、画像上も再燃なく、第36病日退院となった。発症の原因としてアルコールは機会飲酒程度であり、今回の発症前に飲酒歴は無く、また画像検査上明らかな胆石は認められなかった。しかし、入院2カ月前の健康診断ではTG982mg/dlであり、今回入院時も高TG血症(TG327mg/dl)を認めていた。また本症例は2年前より統合失調症疑いとして抗精神薬であるオランザピンを内服しており、本薬剤の副作用として膵炎、高脂血症が挙げられている。今回、重症急性膵炎の原因として高脂血症や薬剤が原因と考えられた症例を経験した。急性膵炎の成因が、高脂血症や薬剤である事は比較的稀であるが、時に重症化する事もあり注意が必要である。今回の成因についての若干の文献的考察も含めて報告する。
索引用語 重症急性膵炎, 高脂血症