セッション情報 | シンポジウム 「ESDの治療成績向上をめざして」 |
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タイトル | 全麻下ESDの有用性について |
演者 | 山下 築(大分県立病院外科) |
共同演者 | 植田 直之(大分県立病院外科), 米村 祐輔(大分県立病院外科), 椛島 章(大分県立病院外科), 増野 浩二郎(大分県立病院外科), 藤井 及三(大分県立病院外科), 池田 哲夫(大分県立病院外科), 田代 英哉(大分県立病院外科), 坂田 久信(大分県立病院外科) |
抄録 | ESD ( endoscopic submucosal resection)は大きな病変でも一括切除が可能であり、正確な病理学的評価ができることが最大の利点である。ESDによって、早期癌の内視鏡的治療の適応範囲は著しく拡大した。しかし、従来法に比べて手技的に難易度が高く、処置に長時間を必要とする。そのため鎮静剤の過剰投与により呼吸循環抑制のリスクは高くなる。しかし、不十分な鎮静では患者の静止状態が保てなければ、ESDの手技そのものをさらに困難とさせてしまう。そこで全身麻酔下のESDの有用性が検討されている。当院でも、2004年6月よりESDを導入し、食道26例(全例全麻)、胃191例(全麻86例)、大腸33例(全麻16例)に施行した。2007年4月よりは、手技的に困難で全身状態に問題のある患者さんに対しては、胃・大腸に対するESDも手術室において全身麻酔下に施行することとしてきた。全麻下ESDの平均年齢は、食道61歳(最高77歳)、胃65.8歳(最高90歳)、大腸71歳(最高77歳)であった。手術時間の平均は、食道186.6分(最長279分)、胃95.6分(最長279分)、大腸113.2分(最長175分)であった。切除標本の最大径の平均は、食道8mm(最大10mm)、胃30.5mm(最大80mm)、大腸20mm(最大25mm)であり、すべて一括切除が可能であった。腎不全・狭心症といった合併症ある患者にも施行し、全身状態に関する偶発症はなく良好な成績が得られている。全身麻酔下のESDは患者の苦痛を軽減させ、筋弛緩剤を使用することにて長時間の静止状態を可能とする。加えて、術中の患者の全身管理を麻酔科医に託せることにて、術者はより手技に集中することができ、このことがESDの適応の拡大や、ひいては偶発症の低下にも貢献できると考えられる。 |
索引用語 | ESD, 全身麻酔 |