抄録 |
症例は拘置所勤務の45歳男性。高尿酸血症にて当院に通院中、2009年2月下旬より食欲低下、胃部不快感、尿の黄染、灰白色便を自覚のため、3月4日に当科外来を受診、その際T.Bil 4.6mg/dl, D.Bil 3.2mg/dl, AST 1228 U/l, ALT 1991 U/l, LDH 701 U/l, ALP 475 U/l, γ-GTP 315 U/lと肝機能異常を認めたため、精査加療目的で同日当科入院となった。入院時の血液検査でHCV抗体が弱陽性(抗体価2.02)、HCV-RNA 6.8 logIU/mlであり、2008年12月26日に当院で行った人間ドックの際にHCV抗体が陰性であったことから、C型急性肝炎と診断した。入院後しばらくの間は安静及び肝庇護療法のみで経過をみていたが、肝機能の高値は続き黄疸も遷延、3月23日のT.Bil 8.0mg/dl, D.Bil 4.9mg/dl, AST 289 U/l, ALT 789 U/l, LDH 202 U/l, ALP 317 U/l, γ-GTP 76 U/lの時点でフェロン600万単位による治療を開始したところである。HCVの感染源としては、本人の話によると勤務場所である拘置所内でHCV感染している拘置者の使用したカミソリでの針刺しが疑われているが、確証はない。ちなみに治療開始前に行った肝生検の結果は、A2, F0であった。黄疸が遷延するC型急性肝炎は一般的に多くないとされているが、黄疸の進行を認めるC型急性肝炎の治癒率は高いとされている。本性例も遷延性黄疸を伴っていることから、インターフェロンによる治癒効果が期待されてところである。現在治療中であるが、その経過を踏まえてここに報告する。 |