セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
当院における腹腔鏡補助下幽門側胃切除術の現況
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演者 |
山口 将平(国立病院機構 九州医療センター 消化器センター外科 臨床研究センター) |
共同演者 |
堤 敬文(国立病院機構 九州医療センター 消化器センター外科 臨床研究センター), 遠藤 和也(国立病院機構 九州医療センター 消化器センター外科 臨床研究センター), 池尻 公二(国立病院機構 九州医療センター 消化器センター外科 臨床研究センター) |
抄録 |
【目的】当院における腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)の手術手技を供覧し、その手術成績を検討した。【手術手技】当院におけるLADGの適応は、EMRの対象とならない肉眼的M癌、および分化型で1.5cm以下の肉眼的SM癌で、D1+αのリンパ節郭清が必要となる症例である。ポート配置は、臍下部よりカメラポート、臍右部に12mm、臍左部に5mm、右肋骨弓下5mm、左肋骨弓下に5mmのポートを挿入している。術野の視野確保のため、肝を圧排する操作が必要となるが、当院ではペンローズドレーンをπ字型にしたものを用いている。切除、吻合は心窩部に約5cmの小切開を置き、当院で考案したhemi-double stapling techniqueであるstand-by吻合を用いて体外で行っている。胃切除は小切開創よりLinear Cutterにて切離しているが、その際、1発目の切離ラインは大彎側と直角に作図し、より自然な吻合ラインを作成している。標本を摘出した後、十二指腸断端に29mmのcircular staplerのアンビルを挿入し、残胃前壁の短軸方向に切開を加えて本体を挿入し、staple lineのやや後壁にシャフトを出した後、大弯側edgeを切離円内に入れるように吻合している。【対象と方法】2005年1月1日~2008年12月31日までに、14症例のLADGを施行した。同症例(LADG群)を、同時期に施行した開腹下の幽門側胃切除の症例(DG群)と、出血量、術後入院期間、術後合併症を比較した。また、医療費の差異も検討した。【結果】出血量はLADG群116±34ml, DG群130±10mlと有意差なく、術後入院期間もLADG群14.6±0.9日、DG群14.4±0.5日と両群に有意差はなかった。術後合併症はLADG群2例(14%)、DG群9例(8%)であったが、両群とも縫合不全は認めなかった。総医療費は術後14日間の入院期間で計算すると、当院でのDPCではLADG群102万円、DG群89万円であり、LADG群の方が高額となった。LADG群は術後7日間の入院期間でDG群とほぼ同額になった。病院の利益観点から考えると、手術利益は、人件費、原価償却費を除くと、LADGとDGはほぼ同額であった。【考察】現時点では、LADGによる低侵襲の効用は、入院期間の短縮に寄与していない。一方、医療経済学的観点からの費用対効果も十分に考え、使用器具の種類、価格を見直す必要がある。 |
索引用語 |
早期胃癌, 腹腔鏡手術 |