セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 重症急性膵炎発症早期に敗血症性ショックを来した一例 |
演者 | 宮川 恒一郎(産業医科大学 医学部 第3内科) |
共同演者 | 日浦 政明(産業医科大学 医学部 第3内科), 田口 雅史(産業医科大学 医学部 第3内科), 木原 康之(産業医科大学 医学部 第3内科), 永塩 美邦(産業医科大学 医学部 第3内科), 山本 光勝(産業医科大学 医学部 第3内科), 原田 大(産業医科大学 医学部 第3内科) |
抄録 | 重症急性膵炎は良性疾患でありながら致命率が10%に達する重篤な疾患である。死因は発症早期の高度全身炎症反応による多臓器不全と、発症後期の感染の合併による敗血症に大別される。我々は、急性膵炎発症後早期に敗血症を来した症例を経験したので報告する。症例は70歳代女性。突然の嘔吐、心窩部から背部にいたる疼痛が出現したため、近医を受診した。血液検査と画像検査から急性膵炎が疑われ、発症翌日に当科へ紹介された。既往歴としてBOOP (Bronchiolitis Obliterans with Organizing Pneumonia) に対してステロイド5 mg/2dayの投与を継続していた。当科入院時、37℃台の発熱、頻呼吸、頻脈を認め、血液検査上もCRP 12.43 mg/dLと高度の炎症反応を認めた。急性膵炎重症度スコア3 (CRP、SIRS、年齢)、造影CTで前腎傍腔までのfluid貯留を認めるが造影不良域を認めず CT grade 1であり、重症急性膵炎と診断した。入院当日より小腸イレウスチューブからの選択的消化管除菌 (SDD) ,大量輸液 (6000 mL/day) 、蛋白分解酵素阻害薬及び抗菌薬の持続動注療法(持続動注療法) (FOY 2400 mg + MEPM 2 g/day) を開始した。発症3日後より重度の血圧低下、体温上昇、血液検査で白血球数が2000 /μLに低下し、エンドトキシンの著明な上昇、プロカルシトニン強陽性であったことから、敗血症性ショックと診断し、エンドトキシンン吸着治療、γグロブリン製剤、ウリナスタチンの静注を開始したところ血圧は上昇し、呼吸・循環動態の改善を得た。持続動注療法は治療開始後1週間で終了し、入院7日目から経腸栄養を開始し、入院30日目に退院した。急性膵炎の後期合併症として、bacterial translocationによる感染が挙げられるが、本症例は入院当初からSDDに加え、抗生物質動注療法を施行したにも関わらず、早期に敗血症性ショックを惹起したことから稀な症例と考えられたため、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 急性膵炎, 敗血症 |