セッション情報 研修医発表

タイトル

プロラクチノーマの経過中に発症した糖尿病合併NASHにピオグリタゾンが有用であった一例

演者 上運天 綾子(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学)
共同演者 永田 賢治(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学), 中村 憲一(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学), 楠元 寿典(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学), 岩切 久芳(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学), 三池 忠(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学), 田原 良博(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学), 山本 章二朗(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学), 蓮池 悟(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学), 米川 忠人(宮崎大学 医学部 内科学講座神経呼吸内分泌代謝学), 中里 雅光(宮崎大学 医学部 内科学講座神経呼吸内分泌代謝学), 丸塚 浩助(宮崎大学医学部附属病院 病理部), 下田 和哉(宮崎大学 医学部 内科学講座消化器血液学)
抄録 症例は25歳、女性。2000年8月無月経を主訴に近医産婦人科を受診、頭部MRIにて下垂体腫瘍を指摘され、精査目的で当院第3内科に入院した。精査の結果、プロラクチノーマと診断され、ブロモクリプチン内服を開始された。その後カベルゴリンに変更され、2004年までは内服していたがその後自己中止した。2005年3月、頭痛、眼痛が出現し、同科を受診、プロラクチノーマの増大を認めたため、9月1日同科に再入院した。入院時検査で、PRL 9,312ng/mLと著明高値であり、AST 140 IU/L、ALT 211 IU/L、γGTP 110 IU/L、ALP 373 IU/Lと肝障害を認めた。肝炎ウイルスマーカー陰性であり、抗核抗体は160倍陽性であったが、IgG、IgMは正常値であり、抗ミトコンドリア抗体は陰性であった。BMI 32、75gOGTT 2時間値186mg/dL、HbA1c 6.6%、HOMA-IR 5.05と肥満、耐糖能異常、インスリン抵抗性を認めた。腹部エコーで脂肪肝を認めた。内分泌負荷試験ではGH以外の予備能は保たれており、カベルゴリン内服と1400kcalの食事療法にて経過観察となった。2006年12月下垂体腺腫手術を施行されたが、腫瘍の残存がみられ、カベルゴリンを継続していた。肝障害については改善みられず、肝生検による評価目的にて2007年10月10日に当科に入院した。AST 144 IU/L、ALT 197 IU/L、γGTP 94 IU/L、ALP 277 IU/L、FBS 124mg/dL、HbA1c 7.1%と肝障害、耐糖能障害に著変なく、肝生検を施行、肝内に大型の脂肪滴の貯留、肝細胞の風船様腫大、炎症細胞の浸潤、線維の増生を認め、NASHと診断した。NASH治療のため11月26日よりピオグリタゾン30mg/日を開始した。開始後肝障害、耐糖能の改善がみられ、開始3カ月の検査値はAST 35 IU/L, ALT 48 IU/L、γGTP 26 IU/L、ALP 254 IU/L、FBS 105mg/dL、HbA1c 4.9%と改善し、6ヵ月後には何れの検査値も正常化した。NASHに対するピオグリタゾンの有用性について文献的考察を加え報告する。
索引用語 NASH, ピオグリタゾン