セッション情報 一般演題

タイトル

内視鏡的に止血しえた回盲部Dieulafoy潰瘍の2症例

演者 江里口 芳裕(九州大学 医学部 第1内科DELIMITER貝塚病院 消化器内科)
共同演者 秋吉 彩(九州大学 医学部 第1内科), 柴田 義宏(九州大学 医学部 第1内科), 馬場 英司(九州大学 医学部 第1内科), 赤司 浩一(九州大学 医学部 第1内科), 竹山 泰守(貝塚病院 消化器内科), 矢野 和浩(貝塚病院 腎透析科)
抄録 Dieulafoy潰瘍は胃上部の粘膜下層の異常に太い動脈の破綻により大量出血をきたす疾患として1898年に最初に報告された.その後,同様の病変が全消化管で報告されている.回盲部のDieulafoy潰瘍は稀な疾患で,出血部位の同定が困難なため緊急血管造影検査や緊急開腹手術による診断・治療などの報告例が多い.今回,我々は内視鏡検査にて診断,治療をしえた回盲部Dieulafoy潰瘍の2例を経験したので報告する.症例1は63歳,男性.糖尿病,閉塞性動脈硬化症にて両下腿切断,末期腎不全で透析中にMRSA菌血症を併発し入院.MRSA菌血症と入院中に認めた透析シャント挿入部の膿瘍は治療にて軽快していたが,第36病日に腹部症状がなく突然の下血を認めた.上部消化管内視鏡検査を施行するも出血性病変を認めず,大腸内視鏡検査にて直腸から盲腸まで多量の血液と凝血塊を認め,盲腸に潰瘍面を伴わない露出血管を認めた.露出血管に対しクリップにて止血処置を行い,5日後の大腸内視鏡検査では,クリップが残存した状態で再出血の所見はなく,以後の再出血は認めず経過良好である.症例2は63歳,男性.盲腸癌による腸管閉塞にて回盲部切除術を施行.その後の遠隔転移に対する全身化学療法目的の入院第9病日に下血を認め,上部消化管内視鏡検査施行するも出血性病変を認めなかった.同日施行した大腸内視鏡検査で直腸から回腸にかけて多量の血液と凝血塊を認めた.吻合部よりすぐ口側回腸に潰瘍面を伴わない出血点を認めた.近接して観察すると噴火口様の露出血管から微少な拍動性出血を認め,クリップにて止血を得た.7日後の大腸内視鏡検査では,クリップが残存した状態で再出血の所見はなく,以後の再出血は認めなかったが,化学療法の効果が得られず全身状態悪化にて緩和ケア目的で転院となる.
索引用語 Dieulafoy潰瘍, 内視鏡的止血術