セッション情報 一般演題

タイトル

FOLFOX療法中に発症した急性代謝性5-FU脳症の1例

演者 大堂 雅晴(国立病院機構熊本医療センター 外科)
共同演者 三角 伸博(国立病院機構熊本医療センター 薬剤部), 芳賀 克夫(国立病院機構熊本医療センター 外科), 片渕 茂(国立病院機構熊本医療センター 外科), 池井 聰(国立病院機構熊本医療センター 外科)
抄録 進行大腸癌に対する標準治療において5FUはKey drugでありなかでもFOLFOXとFOLFIRIは大腸癌治療の柱となっている。今回、直腸癌術後、転移性肝癌に対するFOLFOX療法中に意識障害をともなう脳症を発症した症例を経験したので報告する。症例は76才男性.近医での血液検査にてLDHの上昇を指摘され超音波検を行ったところ転移性肝癌を指摘され、原発部位の確認目的にて下部消化管内視鏡検査を施行したところ直腸癌を指摘された。術前肝機能異常を認めず,肝疾患の既往もなかった。D2リンパ節郭清を伴った切除を予定したが術中に膀胱浸潤を認めたため膀胱部分切除を行い、Hartmann手術にて終了した。術後4週目よりFOLFOX6による化学療法を開始した。5FUを持続静注を46時間予定で開始後18時間後に失見当識が出現したため5FUを中断した。血液検査にて高Na血症を認めたため輸液治療を開始したが意識レベルの改善を認めず、頭部CTにおいても異常所見を認めなかった。血清アンモニア値を測定したところ360ng/dlと異常高値であったためアミノレバン開始、胃管よりカナマイシン、ラクツロース投与を開始した。その後アンモニア値の正常化とともに意識障害の改善を認めた。その後の2から4クールのFOLFOX6による治療において5FU持続静注半ばにて中断となった。5クール目より先天性アンモニア代謝異常の治療に用いられる安息香酸ナトリウムおよびL-カルニチンおよびアミノレバンを治療中に投与開始した。現在、5FUワンショット静注を除いた通常量での治療が可能となった。脳症の原因としては5FUが原因であり、術前肝機能障害が認められない症例であっても初回投与時には注意すべき有害事象であると考えられた。
索引用語 5-FU, 高アンモニア血症