セッション情報 要望演題7 「NAFLDの診断・治療の現況と今後の展望」

タイトル

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に対する栄養介入とその評価

演者 大座 紀子(佐賀大学 医学部 内科学)
共同演者 江口 有一郎(佐賀大学 医学部 内科学), 後川 美智子(医療法人ロコメディカル 江口病院 消化器内科), 石橋 絵理子(医療法人ロコメディカル 江口病院 消化器内科), 堀江 弘子(医療法人ロコメディカル 江口病院 消化器内科), 北島 陽一郎(医療法人ロコメディカル 江口病院 消化器内科), 江口 尚久(医療法人ロコメディカル 江口病院 消化器内科), 水田 敏彦(佐賀大学 医学部 内科学), 藤本 一眞(佐賀大学 医学部 内科学)
抄録 【目的】これまで我々は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に対して外来クリニカルパスを用いた食事運動療法を中心とした行動療法を行い,有用であることを報告してきた.しかしNAFLDにおける栄養摂取の実態は不明な点が多い.そこで3日間の食事記録による栄養評価を行いその実態と食事・運動療法による変化を検討する.【方法】対象はNAFLDと診断され前向きに 3ヶ月間の食事・運動療法を行った症例.介入前後で身体計測,血液検査および腹部CTによる肝脾CT値比(L/S比)で肝脂肪沈着を評価し,臍部断面で内臓脂肪面積を測定した.栄養評価はデジタルカメラ写真を併用した半秤量法による3日間の食事記録と管理栄養士による個別聞き取りから推定,各パラメーターと栄養摂取の変化を検討した.体重管理にはグラフ化体重日記を用い,食事は標準体重x 25-30 kcal/日,運動は身体活動23メッツ+運動量4メッツ/週を目標とし,毎月1回の個別の外来指導を行った.【結果】評価可能症例は26例(52±13歳,女性13例).摂取エネルギーは介入前1799±446(2673-1072) kcal/日.申告量から求めた糖質・蛋白質・脂質はいずれも個人差が大きく,標準体重x30 kcalを適正カロリーと設定した場合47%が摂取エネルギー過少に相当した.3ヵ月後の食事記録では摂取エネルギー1681±264 (2103-914) kcal/日で,介入前と比して有意な変化はなかったが(p=0.121),適正カロリーに比してエネルギー摂取過多である群では総エネルギーと糖質の摂取が減少し(p<0.05),過少群では総エネルギー,蛋白質および脂質の摂取が増加した(p<0.05).また両群の摂取エネルギーは概ね平均値に収束する傾向が示された.3ヶ月後には全例においてALT,L/S比,内臓脂肪面積はいずれも有意に減少し(p<0.05),脂肪肝の改善を認めた.【結論】NAFLD症例における食事記録の解釈には過少申告を含めた系統誤差を認識しておかねばならない.NAFLDに対する栄養指導は個々の栄養摂取を把握した上での介入が有効である.
索引用語 NAFLD, 行動療法