セッション情報 一般演題

タイトル

潰瘍性大腸炎のmesalazine増量後に急性膵炎を合併した1例

演者 本間 雄一(産業医科大学 第3内科)
共同演者 久米 惠一郎(産業医科大学 第3内科), 永塩 美邦(産業医科大学 第3内科), 田口 雅史(産業医科大学 第3内科), 山本 光勝(産業医科大学 第3内科), 木原 康之(産業医科大学 第3内科), 芳川 一郎(産業医科大学 第3内科), 原田 大(産業医科大学 第3内科)
抄録 症例は39歳、男性。2007年9月頃より腹痛、頻回下痢が出現し、10月に近医を受診。潰瘍性大腸炎(全大腸型)と診断されmesalazine 2g/日にて内服加療を開始された。11月に腹痛の増悪を認め、血液検査でAMY 176IU/Lと膵酵素の上昇、腹部造影CTにて膵尾部に限局性の腫大を認め急性膵炎と診断された。入院の上、蛋白分解酵素阻害薬の内服加療にて膵炎の軽快を認めたためmesalazine 2g/日の内服は継続された。2008年2月よりPSL 60mg/日の内服を開始し、以後taperingを行い4月でPSLを中止した。5月12日当院紹介受診し、以後mesalazine 2g/日にて加療を継続していたが、発熱や腹部症状なく、病勢の増悪は認めなかった。2009年1月19日よりmesalazineを4g/日に増量したところ、1月24日から腹痛、背部痛の出現を認め1月26日当院外来受診した。血液検査でAMY 242IU/L、Lipase 398IU/Lと膵酵素の上昇を認め、腹部造影CTにて膵の腫大、膵周囲脂肪織濃度の上昇を認めたため急性膵炎と診断し同日精査加療目的に入院となった。入院後急性膵炎に対して絶食、大量輸液、蛋白分解酵素阻害薬の投与にて治療を開始した。また薬剤性の膵炎の可能性を考え、被疑薬としてmesalazineによる膵炎が考えられたため、入院時よりmesalazineの内服を中止とした。加療により急性膵炎は軽快し、mesalazineの内服中止後も潰瘍性大腸炎の増悪を認めなかったため、mesalazine内服は中止のままとした。潰瘍性大腸炎に膵炎が合併することやmesalazineによる薬剤性膵炎の合併は報告されているが、mesalazine増量後に膵炎発症を合併した報告は稀であり、文献的考察を踏まえ報告する。
索引用語 急性膵炎, 潰瘍性大腸炎