セッション情報 | 研修医発表 |
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タイトル | バルプロ酸により高アンモニア血症を認めたC型慢性肝炎の1例 |
演者 | 岩崎 めぐみ(佐賀大学内科) |
共同演者 | 高橋 宏和(佐賀大学内科), 岡田 竜一郎(佐賀大学内科), 大座 紀子(佐賀大学内科), 桑代 卓也(佐賀大学内科), 河口 康典(佐賀大学内科), 江口 有一郎(佐賀大学内科), 水田 敏彦(佐賀大学内科), 尾崎 岩太(佐賀大学内科), 藤本 一眞(佐賀大学内科) |
抄録 | はじめにバルプロ酸は主要な抗てんかん薬の一つであるが,副作用の一つとして高アンモニア血症をきたすことが知られている。一方で慢性肝疾患患者の診療において,高アンモニア血症、脳症を認めた場合、肝不全や門脈―大循環シャントを臨床的に疑う。今回、C型慢性肝炎の経過観察中にバルプロ酸による高アンモニア血症、脳症をきたした1例を経験したので報告する。病歴症例は61歳、女性。1992年くも膜下出血術後のてんかん発作あり、1993年5月よりバルプロ酸の投与を受けていた。2008年10月にC型慢性肝炎の評価を目的に当科に紹介され、肝生検を施行。 A3/F2であった。2009年1月28日外来受診時、JCS 1-2の意識障害と高アンモニア血症を認めたため、入院となった。身体所見・検査所見体温36.8度、意識レベルJCS 1-2、羽ばたき振戦あり、肝脾腫なし、眼球皮膚黄染なし、くも状血管腫なし、手掌紅斑なし。WBC 4600/μl、Hb 10.3 g/dl、PLT 7.8万/μl、PT% 66.1%、アンモニア 115μg/dl、アルブミン 2.5g/dl、T-Bil 0.7 mg/dl、AST 123 IU/l、ALT 49 IU/l、γGTP 89 IU/l、Fisher比 1.78。腹部造影CTでは肝委縮や脾腫、門脈大循環のシャントは認めなかった。脳波は全般性不規則徐波であった。経過肝生検およびCTの結果から肝不全やシャントによる肝性脳症は否定的であった。また脳波上肝性脳症に特異的な三相波を認めなかったため、バルプロ酸による薬剤性高アンモニア血症、脳症が考えられた。バルプロ酸投与中止したところ血中アンモニアは低下するとともに脳波上不規則徐波は消失し、意識レベルの改善を認めた。結語バルプロ酸による高アンモニア血症は稀ではなく、バルプロ酸を服用中の慢性肝疾患患者における高アンモニア血症、脳症においては同薬剤の関与を考慮する必要がある。 |
索引用語 | 高アンモニア血症, C型慢性肝炎 |