セッション情報 一般演題

タイトル

大腸に特徴的な黄白色隆起所見を呈した糞線虫症の4例

演者 峯松 秀樹(友愛会豊見城中央病院 消化器内科)
共同演者 谷口 将太郎(友愛会豊見城中央病院 消化器内科), 田中 健児(友愛会豊見城中央病院 消化器内科), 玻座間 博明(友愛会豊見城中央病院 消化器内科), 真喜志 知子(友愛会豊見城中央病院 消化器内科), 仲吉 朝史(友愛会豊見城中央病院 消化器内科), 金城 光世(友愛会豊見城中央病院 消化器内科), 新垣 京子(友愛会豊見城中央病院 病理)
抄録 【はじめに】糞線虫は熱帯・亜熱帯に広く分布する腸管感染症であり、日本では保虫者の多くは沖縄・奄美地方に居住する。従来、十二指腸から上部小腸に寄生しており、過剰感染や播種性糞線虫症など重症化しなければ大腸内視鏡所見は現れないとされているが症状は軽微であるにも関わらず大腸に特徴的な黄白色隆起所見を呈した4例を経験したので報告する。【症例1】58歳女性、HTLV-1陰性、腹痛を主訴に下部消化管内視鏡検査を施行。盲腸より上行結腸にかけて黄白色隆起所見を認めた。寒天培養陽性、病理組織にて虫体は確認されず。【症例2】75歳男性、HTLV-1陰性、軟便を主訴に下部消化管内視鏡検査を施行。盲腸より上行結腸にかけて黄白色隆起を認め、病理組織に虫体を観察した。【症例3】62歳男性、HTLV-1陰性、腹痛を主訴に下部消化管内視鏡検査を施行。盲腸より上行結腸にかけて黄白色隆起を認め、寒天培養陽性、病理組織内には虫体は確認されず。【症例4】70歳男性、HTLV-1陰性、症状はなく胃癌術前にて下部消化管内視鏡検査を施行。盲腸に黄白色隆起を認め、寒天培養陽性、病理組織に虫体が観察された。【考察】HTLV-1陽性症例1例を除き、免疫不全を示唆する症例はなく、症状も軽微なものであった。内視鏡所見は全症例で盲腸を主体とした右側結腸に所見を認め、類似した黄白色隆起所見を呈しており、欧米文献でのyellowish white noduleに相当するものと考える。症例3、4では拡大内視鏡検査を行い、上皮下の変化であると診断でき、隆起の本体は病理組織所見とあわせると回腸を通過した虫体が大腸で粘膜固有層に侵入し、その虫体の侵入を阻む好酸球の集簇と推測された。過剰感染に至っていない症例であっても右側結腸に認める黄白色隆起所見は糞線虫の診断の手がかかりとなりえると考えられた。
索引用語 糞線虫, 下部内視鏡所見