セッション情報 要望演題1 「食道表在癌の治療戦略 -ESD・化学放射線療法・外科手術の観点から-」

タイトル

当院における食道表在癌の治療戦略-内視鏡治療の観点から-

演者 北田 英貴(熊本赤十字病院 消化器科)
共同演者 具嶋 亮介(熊本赤十字病院 消化器科), 階子 俊平(熊本赤十字病院 消化器科), 長岡 克也(熊本赤十字病院 消化器科), 浦田 孝広(熊本赤十字病院 消化器科), 肱岡 範(熊本赤十字病院 消化器科), 吉永 秀哉(熊本赤十字病院 消化器科), 竹熊 与志(熊本赤十字病院 消化器科), 川口 哲(熊本赤十字病院 消化器科), 一二三 倫郎(熊本赤十字病院 消化器科)
抄録 【目的】当院で施行された食道表在癌に対しESDを行った症例での治療成績、偶発症を検討しESDの有用性を明らかにする。【方法】当院では食道表在癌の内視鏡的切除の適応を臨床的にリンパ節転移のない症例で壁深達度SM1まで(2007年4月版食道癌診断・治療ガイドラインの相対的適応)とし、切除標本の病理診断で追加治療を行っている。 2004年10月から2009年3月までに施行した食道表在癌40症例47病変に対するESDの治療成績と追加治療、偶発症を検討した。今回の検討でESDはヒアルロン酸ナトリウムを用いデバイスは主にニードルナイフを用いた。【成績】1.壁深達度EP:28例 LPM:6例 MM:8例 SM1:1例 SM2: 3例 2.病変長経の平均サイズ 18.3mm 3.切除標本長径の平均サイズ 31.1mm 4.一括切除率 100%(47/47) 5.HM陰性率83.0%(39/47)6.VM陰性率95.7%(45/47) 7.根治度A83.0%(39/47) B6.4%(3/47) C10.6%(5/47) 8.治癒切除 61.7% (29/47) 非治癒切除38.3%(18/47) 9.追加治療 壁深達度EPと LPMの34例(治癒切除29例、非治癒切除5例)は全例経過観察とした。壁深達度MMの8例中根治度B(HMX)の1例に放射線療法が追加され根治度Aの7例は経過観察となった。壁深達度SM1の1例は根治度C(HM1 VM1)となり放射線療法が追加された。壁深達度SM2の3例のうち2例は化学放射線療法、1例は手術となった。10.偶発症 縦隔気腫2例(4.3%) 気胸1例(2.1%) 明らかな穿孔1例(2.1%)(緊急手術にて救命) 輸血が必要な出血0例 拡張を必要とする狭窄5例(10.7%)(全周切除後1例 2/3周以上の切除後4例)【結論】食道表在癌に対するESDの偶発症発生率は許容範囲で根治度は比較的良好と考える。相対的適応までESDの適応を広げて切除標本の病理診断で追加治療を決定することは、手術や化学放射線療法の過大な侵襲を避ける目的で意義があると考える。
索引用語 食道表在癌, ESD