セッション情報 一般演題

タイトル

経皮内視鏡的横行結腸瘻造設術が有効であった大腸偽閉塞症の1例

演者 梶山 潔(麻生飯塚病院 外科)
共同演者 吉田 道夫(宗像医師会病院 放射線科), 櫻井 真人(麻生飯塚病院 外科), 播本 憲史(麻生飯塚病院 外科)
抄録 【はじめに】慢性大腸偽閉塞症は成人巨大結腸症とも呼ばれ、大腸の著明な拡張をきたし、頑固な便秘や腹部膨満を主症状とする比較的稀な疾患である。今回われわれは、薬物治療抵抗性であった慢性大腸偽閉塞症に対し、経皮内視鏡的横行結腸瘻造設術(percutaneous endoscopic transverse colostomy, 以下PEC)が有効であった1例を経験したので報告する。【症例】患者は、75歳男性。主訴は、腹部膨満、嘔吐。現病歴は、2004年12月、腹部膨満と嘔吐が出現し当院を受診した。腹部は、著明に膨満していたが、軟であり圧痛や筋性防御はなかった。腹壁瘢痕ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断。入院後、腹壁瘢痕ヘルニアは用手的に還納され、経鼻的イレウス管による腸管減圧にてイレウスも改善した。しかしながら、イレウス管抜去後食事摂取を開始すると、横行結腸のみが著明に拡張した。大腸ファイバーによる減圧で拡張は改善したため、腹壁瘢痕ヘルニア根治術を施行した。術後、各種下剤、消化管運動促進薬等を投与するも、やはり横行結腸の著明な拡張が出現し、自力で起立もできない状態となった。保存的治療抵抗性であり、横行結腸切除術または人工肛門造設術の適応と考えたが、患者は手術を強く拒否した。十分なインフォームドコンセントの下、PECを施行した。PEC施行方法は、基本的に宇野の方法に準じた。大腸の前処置を行った後、横行結腸壁と腹壁を固定し、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)と同様の方法にて横行結腸に瘻孔チューブを留置した。術後も食事摂取後、横行結腸の著明な拡張を認めたが、結腸瘻チューブより減圧すると、腹部膨満は速やかに改善した。その他合併症なく術後16日目に退院となった。退院後24ヶ月間、腹部膨満は瘻孔チューブよりの減圧にてコントロール良好であった。【考察】PECは開腹結腸瘻造設術よりも低侵襲かつ比較的簡便であり、極めて有用な手技と思われた。しかしながら、PEGほど一般的ではなく、重篤な合併症も報告されているため、慎重に適応症例を選択すべきであると考えられた。
索引用語 巨大結腸症, 結腸瘻造設術