セッション情報 一般演題

タイトル

比較的短期間に2型進行癌となったと考えられる有茎性大腸腺腫の1例

演者 尾石 義謙(済生会熊本病院 消化器病センター)
共同演者 上原 正義(済生会熊本病院 消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院 消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 山口 祐二(同外科センター), 金光 敬一郎(同外科センター), 神尾 多喜浩(同病理)
抄録 症例は75歳,男性.検診で便潜血陽性を指摘され,2007年10月,当院で大腸内視鏡検査を受けたところ,S状結腸に1.5cm大の有茎性ポリープを認め,生検の結果は腺腫であった.内視鏡的切除を勧めたが,本人が治療を希望せずその後外来を受診されなかった.2008年の検診で再度便潜血陽性を指摘され,同年10月,大腸内視鏡検査を施行.S状結腸に2cm大の辺縁隆起を伴う陥凹性病変を認め,周堤は正常粘膜に覆われており,陥凹内からの生検で高分化型腺癌と診断された.注腸X線検査を施行したが,同病変以外に隆起性病変は指摘できず,前回認めたS状結腸の有茎性ポリープが,1年の経過で2型の進行癌へと肉眼形態が変化したと考えられた.腹部エコー,胸腹部CT検査で転移性病変は認めず,同年11月に高位前方切除術を施行した.S状結腸の切除標本では,病変は20×20mm大の2型で,盃状の形態を呈していた.病理的には深達度MPの高分化型腺癌で,周堤は正常粘膜に覆われており,腺腫成分はみられなかった.大腸癌の発育進展経路は,その自然経過を観察することが倫理的に困難であることから,遡及的検討がなされているが,自検例はその過程を知る貴重な症例と考えられ,文献的考察を加えて報告する.
索引用語 大腸癌, 形態変化