セッション情報 研修医発表

タイトル

後腹膜原発Solitary fibrous tumorの一例

演者 安部 健太郎(大分赤十字病院)
共同演者 岩城 堅太郎(大分赤十字病院), 木下 忠彦(大分赤十字病院), 渡邉 公紀(大分赤十字病院), 川野 雄一郎(大分赤十字病院), 伊藤 心二(大分赤十字病院), 岡本 正博(大分赤十字病院), 江口 博(大分赤十字病院), 福澤 謙吾(大分赤十字病院), 本廣 昭(大分赤十字病院), 若杉 健三(大分赤十字病院)
抄録 【はじめに】Solitary fibrous tumor (SFT)は、比較的稀な間葉系腫瘍で、主に胸膜由来であるが胸膜外病変も様々な部位に見られる。今回我々は、後腹膜原発のSFTの一例を経験したので報告する。【症例】46歳女性。主訴は特になし。2008年7月の子宮癌検診にて右下腹部腫瘤を指摘され紹介となった。来院時、腹部は平坦・軟で腫瘤は触知せず。血液生化学検査では特記所見なし。下部消化管内視鏡検査では肛門から15cmの部位に発赤と粘膜の浮腫を認めた。CTでは子宮背側に60mm大の腫瘍を認め、早期相で強い造影効果を有し、遅延相ではwashoutされた。3D-CT angiographyでは下腸間膜動脈から豊富な血流を得ており、下腸間膜静脈の著明な拡張を認めた。腫瘍は直腸壁と接し、Gastrointestinal stromal tumor (GIST)を疑い低位前方切除術を施行した。切除標本では、腫瘍と腸管筋層との連続性はなく、腸間膜由来の腫瘍と考えられた。病理組織所見では、腫瘍細胞は短紡錘形で血管を取り巻くような形で増殖し、免疫染色では、c-kit (-)、CD34 (+)、bcl-2 (+)であり、SFTと診断された。【文献的考察】SFTの発生頻度は10万人に対し2.8人とされ、比較的稀な腫瘍である。主に胸膜由来であるが、胸膜外の部位にも発生しうる。悪性の割合は12~37%とされ、その指標として、病理組織学的悪性所見(細胞異型、核分裂数の増加、高い細胞密度)、腫瘍壊死、10cm以上の腫瘍径が挙げられる。組織所見と予後が相関しないことも多い。再発形式は局所再発と遠隔転移があり、術後10年以降に再発する例もある。【結語】今回我々は、後腹膜原発のSFTの一例を経験した。本疾患は術後10年以降に再発する場合もあり、長期にわたる経過観察が必要と考えた。
索引用語 後腹膜腫瘍, Solitary fibrous tumor