セッション情報 | シンポジウム 「ESDの治療成績向上をめざして」 |
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タイトル | 当院での早期胃癌に対するESD治療成績-上級者と初級者のESD治療成績の比較- |
演者 | 槙 信一朗(福岡大学 筑紫病院 消化器科) |
共同演者 | 長濱 孝(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 武市 昌郎(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 別府 孝浩(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 久部 高司(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 高木 靖寛(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 平井 郁仁(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 八尾 建史(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 岩下 明徳(福岡大学 筑紫病院 病理部) |
抄録 | 背景と目的:当院で術者としてESDを開始する条件は、1胃癌の術前診断が安定し 2内視鏡的止血術や粘膜切除術の経験が十分で 3ESD介助にて高周波発生装置のメカニズム、各種デバイスの特性、占拠部位に応じた治療戦略などの知識を習得した医師よりA領域病変に対してESDを導入している。今回当院のESDの導入条件の妥当性を治療成績より明らかにする事を目的とした。対象:2002年6月~2008年12月までESDを施行した分化型早期胃癌427病変のうち初級者がESDを開始した時期2006年6月~2008年12月における分化型早期胃癌190病変を対象とした。尚ESD経験年数が3年以上を上級者、3年未満のESD経験年数を初級者と定義した。方法: A領域における上級者群と初級者群の治療成績(一括完全切除率(CER)、切除時間、偶発症(出血、穿孔)の頻度)を1)肉眼型別(隆起型、平坦陥凹型)、2)腫瘍径別(20mm以下、21mm以上)、3)Ulの有無別の項目で比較した。成績:1)肉眼型別においては上級者群と初級者群の治療成績に差はなかった。2)腫瘍径別:21mm以上ではCER、偶発症で両群間に差はなかったが、切除時間において上級者83.9分、初級者138.2分と有意に初級者の切除時間が長かった(P<0.05)。一方、20mm以下ではCER、偶発症、切除時間のいずれにおいても両群間で差は認めなかった。3)Ul(+)、Ul(-)にかかわらず、両群間の治療成績に差はなかった。結語: 初級者と上級者のA領域における治療性成績よりCER率、偶発症の頻度に差はなくA領域からの導入は妥当であると考えられるが、切除時間長からは20mm以下の病変が望ましい。Ulの有無に関しては結果的に両群間の治療成績に差はなく、Ulの程度にもよるがA領域においては初級者も施行可能な条件として考慮されるべきと考えられた。 |
索引用語 | 早期胃癌, 治療 |