セッション情報 | 研修医発表 |
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タイトル | 急速な転帰をたどり肺転移・肺出血にて死亡した肝血管肉腫の一例 |
演者 | 井上 佑子(大分大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 | 水上 一弘(大分大学 医学部 消化器内科), 安部 高志(大分大学 医学部 消化器内科), 阿南 重郎(大分大学 医学部 消化器内科), 八坂 成暁(大分大学 医学部 消化器内科), 棚橋 仁(大分大学 医学部 消化器内科), 沖本 忠義(大分大学 医学部 消化器内科), 兒玉 雅明(大分大学 医学部 消化器内科), 村上 和成(大分大学 医学部 消化器内科), 藤岡 利生(大分大学 医学部 消化器内科) |
抄録 | 症例は80歳男性.2008年11月に突然の腹痛を来たし,近医にて腹部CT検査を施行.肝内血腫と診断され同院にて血管塞栓術を行なうも,出血コントロールが困難とのことで当院救急搬送された.当院にて緊急血管塞栓術を行い,その後再出血は認められず軽快退院となった.当時は数日前に階段から転落したというエピソードから,外傷性の肝損傷が考えられていた.その後も時折腹痛は認められていたが,定期的な腹部CT検査では,血腫が縮小していたため経過観察されていた.2009年1月28日夜間に急激な腹痛が出現したため,29日当院を受診.血液検査にてHb 5.5 g/dl,腹部CT検査では肝内血腫増大を認めたため,肝出血再発の診断にて同日緊急入院となった.腹部血管造影検査にて肝右葉内に多数の造影剤のpooling・出血が認められたことから,肝血管肉腫が疑われた.前下区域枝,後下区域枝,前上区域枝,胆嚢動脈に出血点が認められ,同部位の血管に対して塞栓術を行った.その後数日は全身状態も安定しており,腹部CT所見や血管造影から病変は肝右葉に限局していたことから,外科的治療を検討していたが,2月9日に再出血を来たし,再度緊急腹部血管造影検査を行ったところ,前回所見と比較し,明らかに出血点の数や病変部の範囲は増大していた.その後も貧血は進行性に認められており,輸血を繰り返すような状態が継続.2月16日に再度腹部CT検査を施行したが,肝左葉や肺への転移が出現していた.2月20日頃より呼吸状態悪化し,胸部レントゲンにて大量の左胸水が出現.徐々に全身状態低下していき,2月23日永眠された.剖検結果は肝血管肉腫であったが,特筆すべき点としては,転移した肺表面の腫瘍が破裂を起こしており,3リットルの血胸を引き起こしていた.今回肝血管肉腫につき文献検索を行ったが,本邦において肺転移・肺出血をきたした症例は稀であり,またあまりに急速な転帰を辿っていったことが非常に衝撃的であったため報告する. |
索引用語 | 肝血管肉腫, 肺転移 |