セッション情報 一般演題

タイトル

経腸栄養剤をジャネフK2Sに変更し、難治性下痢が改善したC.difficile associated disease(CDAD)の一例

演者 高橋 俊介(福岡県済生会福岡総合病院)
共同演者 明石 哲郎(福岡県済生会福岡総合病院), 牟田 和正(福岡県済生会福岡総合病院), 畑 佳孝(福岡県済生会福岡総合病院), 原口 和大(福岡県済生会福岡総合病院), 淀江 賢太郎(福岡県済生会福岡総合病院), 宜保 淳也(福岡県済生会福岡総合病院), 吉村 大輔(福岡県済生会福岡総合病院), 安野 広三(福岡県済生会福岡総合病院), 東 宣彦(福岡県済生会福岡総合病院), 落合 利彰(福岡県済生会福岡総合病院), 土田 治(福岡県済生会福岡総合病院), 徳松 誠(福岡県済生会福岡総合病院), 壁村 哲平(福岡県済生会福岡総合病院)
抄録 今回我々は、腸腰筋膿瘍の抗菌薬治療中に発症したCDADが起因である難治性下痢症に対してジャネフK2Sの経腸栄養が著効した一例を経験したので報告する。【症例】87歳、男性。【主訴】発熱【現病歴】平成20年12月下旬から軽度の左下肢痛出現。その後徐々に痛みは上行し、平成21年1月初旬には両股関節から左腰部に痛みが拡大した。同3日夜間より38℃台の発熱と全身倦怠感も自覚したため、翌4日当院受診。入院時血液検査にて肝胆系酵素上昇、腹部造影CT検査にて総胆管軽度拡張あり、急性胆管炎の診断で緊急内視鏡的逆行性胆膵管造影検査施行し胆管ドレナージを施行し、同日入院となった。【経過】入院後抗菌薬投与を行い経過をみたところ、肝胆系酵素は緩やかに改善し、造影でも胆管閉塞所見は認めなかった。発熱及び炎症所見は持続し、精査のため同19日に腹部造影CT再検査を施行したところ、両側腸腰筋に膿瘍を認めた。同病変に対してはその後もBiapenem0.6g/日投与を行った。入院後、嚥下機能の低下が認められたため7日より経腸栄養を開始したところ、同11日より水様性下痢が出現した。その後濃厚流動食の投与時間の延長や半固形化を試みるも改善しなかった。便培養検査では細菌は陰性であったが、18日CDcheck陽性であり、CDADによる下痢症が考えられたため、同日よりMetronidazole1g/日の内服を開始し、抗生剤をSBT/ABPC4.5g/日に変更した。しかしその後も症状は軽快しなかった。31日より流動食をK2Sに変更したところ、翌1日より下痢は消失し、普通便が1日1~2回と良好な経過を得た。【考察】ジャネフK2Sは食物繊維や微量元素、電解質等腸管内で停滞し吸収阻害しやすい成分がなく、低脂肪、低浸透圧及び中鎖脂肪酸や乳化したレシチンや乳性蛋白質の含有により容易に吸収される濃厚流動食である。近年、同栄養剤は経腸栄養が起因となる下痢症に対して有効との報告が見られるが、感染性下痢症への効果に対する報告は未だ少ない。今回経腸栄養剤をジャネフK2Sに変更し、難治性下痢が改善したCDADの一例を経験したため、本症例について文献的考察を加えて報告する。
索引用語 K2S, CDAD