セッション情報 研修医発表

タイトル

術前診断に苦慮した早期胆嚢癌の一例

演者 矢吹 慶(産業医科大学 消化器・内分泌外科 )
共同演者 長尾 祐一(産業医科大学 消化器・内分泌外科 ), 金光 秀一(産業医科大学 消化器・内分泌外科 ), 鳥越 貴行(産業医科大学 消化器・内分泌外科 ), 日暮 愛一郎(産業医科大学 消化器・内分泌外科 ), 岡本 好司(産業医科大学 消化器・内分泌外科 ), 山口 幸二(産業医科大学 消化器・内分泌外科 )
抄録 腹腔鏡下胆嚢摘出術が導入されて以降、胆嚢癌における早期癌の占める割合は増加傾向にあるが、その術前正診率はいまだ十分とは言えない。今回、我々は術前診断に苦慮した早期胆嚢癌の1例を経験したので報告する。(症例)79歳、女性。感冒にて近医受診時、偶然に胆嚢腫大を指摘され、当科紹介となった。EUS、ERCPにて胆嚢底部には約8mm大の表面隆起型を呈した腫瘍性病変を認めたが、胆嚢腫大の原因となる閉塞機転は同定できなかった。腹部CT、エコー検査では同病変は指摘できなかった。胆嚢癌疑いにて開腹胆嚢摘出術を施行した。病理組織学的検査にて胆嚢底部から頚部にまで及ぶ広汎な粘膜内癌を認めた(tub1, m, ly0, v0)。最終病期はpT1(m, pHinf0, pBinf0, pPV0, pA0), pN0, H0, P0, M0:fStage Iであった。切除断端に癌浸潤は認めず(BM0, HM0, EM0)、追加切除は施行しなかった。 近年、腹腔鏡下胆嚢摘出術は早期胆嚢癌にまで適応疾患が拡大されつつある。しかし、その術前診断は困難なことが多く、潜在癌として発見されることも稀ではない。今回、術前診断に苦慮した早期胆嚢癌の1例を経験したので、当科で経験した早期胆嚢癌19例の臨床病理学的検討を加え報告する。
索引用語 胆嚢癌, 胆嚢摘出術