セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
出血を繰り返す十二指腸動静脈奇形に対し動脈塞栓術が奏功した1例
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演者 |
熊谷 好晃(国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科 臨床研究部) |
共同演者 |
山縣 元(国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科 臨床研究部), 石橋 龍之(国立病院機構 小倉医療センター 放射線科 臨床研究部), 阿部 光市(国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科 臨床研究部), 李 倫学(国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科 臨床研究部), 山口 裕也(国立病院機構 小倉医療センター 消化器内科 臨床研究部) |
抄録 |
症例は58歳、男性。2006年11月および2007年9月に黒色便が出現し、他院で十二指腸第4部の動静脈奇形による出血と診断され、内視鏡的にクリッピングを施行された。その後は症状を認めなかったが、2008年2月にくも膜下出血で他院に入院した頃から、再び黒色便を認めるようになった。症状が持続するため4月4日に近医を受診し、Hb 8.6mg/dlと貧血も認められたため消化管出血を疑われ、精査加療目的で当院を紹介され入院となった。上部消化管内視鏡で十二指腸第4部に、中心にクリッピングによると思われるくびれを伴う径5mmの粘膜下腫瘍様隆起を認め、同部より出血が確認された。以前指摘された動静脈奇形と思われた。HSE局注を行ない一時は止血したが、その後も黒色便が持続した。そこで、血管造影下での経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization,TAE)を行う方針とし、内視鏡下で病変近傍にマーキングクリップを留置した上で、造影を行った。上腸間膜動脈の造影で第一空腸動脈の分枝に点状のnidusを認め、静脈の早期灌流がみられ、動静脈奇形と考えられた。クリップ近傍に位置しており出血源と考えられたが、検査時に造影剤漏出は認めなかった。引き続き第一空腸動脈の分枝にTAEを行い、nidusの消失を確認した。TAE4日後の上部消化管内視鏡では粘膜下腫瘍様隆起は縮小しており、粘膜面には浅い潰瘍が出現していた。治療後は黒色便や貧血の進行を認めなかった。出血を繰り返す十二指腸動静脈奇形に対し経カテーテル的動脈塞栓術が奏功した1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
動静脈奇形, TAE |