セッション情報 一般演題

タイトル

回腸導管内に発生した早期小腸癌の一例

演者 吉住 文孝(大分大学 消化器外科)
共同演者 赤木 智徳(大分大学 消化器外科), 廣石 和章(大分大学 消化器外科), 當寺ヶ盛 学(大分大学 消化器外科), 衛藤 剛(大分大学 消化器外科), 森山 初男(大分大学 消化器外科), 安田 一弘(大分大学 消化器外科), 猪股 雅史(大分大学 消化器外科), 野口 剛(大分大学 消化器外科), 白石 憲男(大分大学 消化器外科), 北野 正剛(大分大学 消化器外科)
抄録 【はじめに】回腸導管造設術は、尿路変更術として広く行われている。今回われわれは回腸導管内に発生したまれな早期小腸癌の一例を経験したので、文献的考察を加え報告する。【症例】50歳代、女性。26年前に腎性尿崩症にて回腸導管を造設し、かかりつけ医にて経過観察していた。2年前から肉眼的血尿を認め、半年前に施行した内視鏡検査にて回腸導管内ポリープを指摘され、生検で過形成ポリープと診断された。4ヶ月前に加療目的で当科に紹介となった。内視鏡検査にて、約10cmの回腸導管の盲端付近に3cm大の有茎性のポリープを認めた。回腸導管内であり切除後にかけたクリップが遺残した場合、結石を作る可能性があること、そして透析中で後出血のリスクが高いことなどから、回腸導管からポリープを引き出し、直視下に外科的切除をすることとした。内視鏡下にポリープにスネアをかけ愛護的に牽引すると回腸導管内の粘膜は外翻し、ポリープを引き出すことができた。ポリープの茎部に鉗子をかけ、吸収糸で二重に結紮後にポリープを切除した。病理組織学的診断はWell differentiated tubular adenocarcinoma in Peutz-Jeghers polyp、大きさ34×23mm M, ly0, v0, 切除断端陰性であった。合併症なく経過は良好であった。【結語】まれではあるが回腸導管内にも癌が発生することがあり、定期的な内視鏡検査が望ましい。また回腸導管は通常10cm程度であり、ポリープ切除を安全で確実に行うために、導管を外翻させポリープを導管外に引き出しての外科的切除は有用である。
索引用語 回腸導管, 早期小腸癌