セッション情報 一般演題

タイトル

ESDにて確定診断しえた直腸GIST(gastrointestinal stromal tumor)の1例

演者 古賀 章浩(福岡大学 筑紫病院 消化器科)
共同演者 長浜 孝(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 久部 高司(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 平井 郁仁(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 大重 要人(福岡大学 筑紫病院 病理部), 岩下 明徳(福岡大学 筑紫病院 病理部), 石見 賀正(いわみ肛門クリニック)
抄録 要旨 今回我々は比較的稀な直腸GISTを経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は61歳,男性. 下痢を主訴に近医を受診し,大腸内視鏡検査で直腸に隆起性病変を指摘され紹介となった.当院の内視鏡検査では直腸Rbに約10mm大,黄白色調の粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め,カルチノイド腫瘍と診断,生検されたが腫瘍を検出できなかった.EUS(脱気水法,20MHz)では直腸壁は7層構造に分離,腫瘍は第4層から連続する低エコー腫瘤として描出され,内部はモザイク状であった.第1,2層は保たれ,腫瘍の主座は第3層であった.以上の所見より,カルチノイド腫瘍は否定され,内輪筋由来の筋原性腫瘍と診断した.腹部US,CT検査ではリンパ節転移,遠隔転移の所見は認めなかった.患者の強い希望により確定診断を目的としESDを行った.腫瘤全体は偶発症なく容易に核出された。切除標本:肉眼所見は白色調球形の硬い腫瘤であった。病理組織学的所見では腫瘍は大きさ13×10mm大で粘膜下層に存在し,紡錘形細胞が束状索状に密に増殖していた.免疫組織学的所見ではc-kit,CD34,α-SMA,HHF35,caldesmon,calponin,vimentin陽性で,Ki-67 labeling index 1%であった.Mitosisは認めなかったが細胞密度が高くGIST,borderline malignancyと診断された.1 腫瘍径は小さく,垂直断端陰性であるがburning effectによる一部水平断端が判定不能であること,2 リスク分類でborderline malignancyであることを理由に厳重経過観察している.GISTの概念確立後にNissenらが行った検討では,消化管原発GIST 288症例の内訳は胃59%,小腸34%,大腸6%と大腸は比較的稀である.本症例はEUSで内輪筋由来の筋原性腫瘍を疑い,ESDで病理組織学的に確定診断し得た.
索引用語 GIST, 直腸