セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 腸管スピロヘータ症を伴った直腸癌の1例 |
演者 | 照屋 葵(済生会熊本病院 消化器病センター) |
共同演者 | 江口 洋之(済生会熊本病院 消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院 消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院 消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院 消化器病センター), 鴻江 勇和(済生会熊本病院 消化器病センター), 尾石 義謙(済生会熊本病院 消化器病センター), 丸岡 公生(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 信一郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理), 金光 徹二(かねみつ胃腸科外科医院) |
抄録 | 症例は63歳男性。1か月前に黒色水様便が出現したが、その後は便秘となり、腹痛出てきたため、かねみつ胃腸科外科医院を受診。同院にて大腸内視鏡検査を施行したところ、直腸に全周性の狭窄が認められ、内視鏡は通過できなかった。癌を疑って生検されたが悪性像は認められず、非特異性炎症像とスピロヘータが認められたため、腸管スピロヘータ症の疑いにて当科紹介となった。当院で施行した大腸内視鏡検査では、直腸Raに全周性の狭窄を認めたが、正常粘膜が浮腫状に腫大している所見であり、狭窄肛門側には癌を示唆する所見は認められなかった。細経内視鏡にて狭窄部を通過できたため、狭窄の内部を観察したところ、狭窄内に不整形の深掘れ潰瘍を認め、生検にて中分化型腺癌と診断された。なお、当院における生検ではスピロヘータは認められなかった。腹部CT検査では、直腸からS状結腸にかけて著明な全周性壁肥厚を認め、後腹膜に空気を伴う膿瘍の形成を認めた。また、大動脈周囲リンパ節を含む多数の腹腔内リンパ節腫大と正中仙骨リンパ節腫大(M1)を認めた。以上より、腸管スピロヘータ症による狭窄ではなく、直腸癌(M1)による後腹膜穿通および膿瘍形成に伴う狭窄と診断とし、絶食、抗生剤投与、中心静脈栄養管理にて治療したのちに低位前方切除術を施行した。T4N2M1, StageIVであり、病理組織学的にはmoderately differentiated adenocarcinoma, se, ly3, v0であった。術後経過は良好で、現在、外来にて全身化学療法を行っている。今回われわれは、腸管スピロヘータ症を伴った直腸癌の1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 腸管スピロヘータ症, 直腸癌 |