セッション情報 一般演題

タイトル

出血を契機に発見された胃過形成性ポリープの癌化例

演者 所 征範(大分医療センター 消化器科)
共同演者 上尾 哲也(大分医療センター 消化器科), 福地 聡士(大分医療センター 消化器科), 橋口 礼佳(大分医療センター 消化器科), 重松 利行(大分医療センター 消化器科), 本田 浩一(大分医療センター 消化器科), 室 豊吉(大分医療センター 消化器科), 森内 昭(大分医療センター 病理部), 清家 正隆(大分大学医学部付属病院 消化器科)
抄録 【はじめに】胃過形成性ポリープから癌が発生することはまれであり、その頻度は1.5~4.5%と報告されている。今回、出血を契機に発見された胃過形成性ポリープの癌化例を経験したので報告する。【症例】78歳、女性【主訴】タール便【現病歴】アルツハイマー型認知症、弓部大動脈瘤のため介護施設に入所中に黒色便があり、紹介入院となった。【上部消化管内視鏡検査】胃前庭部後壁側に径2cm大の有茎性ポリープを認め、頂部より出血していた。ポリープの切除が止血につながると考えポリペクトミーを施行した。【病理組織学的所見】17x15x10mm大の頭部がやや分葉状にみえるIpポリープで、出血部に一致して潰瘍形成を認めた。Foveolar typeの過形成性ポリープを背景に大部分が高から中分化腺癌の像に置き換わっており、adenocarcinoma arising in hyperplastic polypと診断した。免疫組織化学的検索にてp53は過形成性ポリープの成分に発現しないものの、癌部でびまん性に発現していた。Ki-67は過形成性ポリープの成分でlabeling indexが8%と低いものの、癌部で85%と高発現を認めた。胃型の粘液形質を示すMUC5ACは過形成性ポリープの成分および癌部にびまん性に発現を認める一方、腸型の粘液形質を示すMUC2は癌部にのみ巣状に発現していた。【考察】本症例はfoveolar typeの過形成性ポリープからの癌化であり、癌化に伴い胃型の粘液形質から一部に腸型の粘液形質発現が認められた。癌部でのKi-67およびp53の過剰発現がみられ、過形成性ポリープからの癌化にcell cycleの活性化とp53の関与が示唆された。
索引用語 胃過形成性ポリープ, 癌化