セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 約30年前より肝内胆管拡張を指摘されていた胆管内乳頭状腫瘍の一例 |
演者 | 安部 高志(大分大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 | 村上 和成(大分大学 医学部 消化器内科), 阿南 重郎(大分大学 医学部 消化器内科), 水上 一弘(大分大学 医学部 消化器内科), 八坂 成暁(大分大学 医学部 消化器内科), 棚橋 仁(大分大学 医学部 消化器内科), 沖本 忠義(大分大学 医学部 消化器内科), 兒玉 雅明(大分大学 医学部 消化器内科), 藤岡 利生(大分大学 医学部 消化器内科), 柴田 浩平(大分大学 医学部 消化器外科), 太田 正之(大分大学 医学部 消化器外科), 北野 正剛(大分大学 医学部 消化器外科) |
抄録 | 【はじめに】今回我々は、ENBDからの胆汁細胞診、ならびに画像所見等にて診断し得た胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of bile duct : IPNB)の一例を経験したので報告する。【症例】59歳男性。昭和47年頃から右季肋部の違和感を自覚しており、その頃から腹部CTにて左側肝内胆管拡張を近医にて指摘されていたが、経過観察されていた。平成20年12月29日頃から右季肋部痛、背部痛を自覚し次第に増悪を認めたため、平成21年1月5日近医を受診。閉塞性黄疸を認め、精査加療目的にて同日当科紹介入院となった。腹部造影CTにて肝左葉および右葉前区域の肝内胆管が著明に拡張し、肝左葉内側区に淡く造影される腫瘤影、ならびに肝S6には肝内転移と思われる腫瘤影を認めた。ERCPでは、Vater乳頭開口部は開大しており、いわゆるfish mouth様であった。総胆管ならびに肝内胆管には粘液によるものと思われる陰影欠損像を多数認めた。左側肝内胆管にENBD(6Fr)を留置し減黄に努め、排液胆汁の細胞診にてadenocarcinomaとの診断を得、画像所見等からIPNBと診断した。ご本人、ご家族から強い手術の希望があり、1月27日当院消化器外科へ転科。2月3日PTPE施行した後、3月3日肝左三区域切除術+胆管切除・胆道再建術、肝S6の肝内転移に対しては術中にPMCTが施行された。この際、横隔膜下に単発の腹膜播種を認めたが、今後のQOLを考慮しご家族にICを行った上で手術を続行された。現在も消化器外科に入院加療中である。【考察】IPNBは乳頭状に発育した腫瘍から過剰に産生される粘液により胆管が嚢胞状の拡張を呈する比較的稀な疾患である。そのほとんどが悪性であるが、病悩期間が長く、臨床経過が長いことも本症の特徴である。腫瘍占拠部位は、本症例の様に圧倒的に左側に多いとされる。治療は外科的切除が第一選択である。切除後の生存率は通常型の胆管癌と比較し良好とされるが、その理由としてlow grade malignancyに属する腫瘍であることなどが挙げられる。 |
索引用語 | 胆管内乳頭状腫瘍, ERCP |