セッション情報 パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療

タイトル 消PD11-6:

胃静脈瘤に対するB-RTO・PSE同時併用療法

演者 和栗 暢生(新潟市民病院・消化器内科)
共同演者 佐藤 宗広(新潟市民病院・消化器内科), 薛 徹(新潟市民病院・消化器内科)
抄録 【緒言】胃静脈瘤(GV)に対するバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)の有用性は確立しているが、門亢症への単なるシャント塞栓の是非はまだ議論の余地がある。我々は、B-RTOによる門脈圧上昇を緩和する目的で部分脾動脈塞栓術(PSE)を同時併用し、その有用性を報告してきた(JVIR 2012 in press)。今回はGV症例における同時併用の意義を検討した。【方法】対象は2005年12月からGVに対してB-RTOが施行された26例(破裂緊急 5、破裂後待機 2、予防治療 19)。胃腎シャントをバルーン閉塞し、逆行性に5% Ethanolamine oleate (EOI)にてovernight法で塞栓した。15例にgelatin sponge細片によるPSEを同時併用した。GV消失率、食道静脈瘤(EV)の悪化、肝予備能の推移、合併症などについて後方視的に検討した。【結果】手技成功率は92.3% (26例中24例)であった。不成功 2例のうち、1例は手術施行、1例はPSEのみ施行してGV縮小がみられ、経過観察中である。成功24例は全例、胃腎シャントの血栓化とGV消失をみた。治療後3ヶ月以内の早期死亡は3例で、破裂後緊急で治療に成功したが、初診搬送時からみられた出血性ショック・アシドーシスに起因する肝腎不全死した1例、門脈浸潤(Vp4)を伴う高度進行肝細胞癌症例の1例は癌死された。また術前より非代償性肝硬変、肝肺症候群のあった1例は一旦退院したが、3ヶ月後に肝腎症候群で死亡された。3か月以上経過観察例では、肝予備能検査値もB-RTO後、有意な改善をみた。同時併用群はB-RTO単独群に比較して5% EOIの必要量が有意に少なく、EV増悪が有意に少なかった。【考察】同時併用は、治療侵襲が大きいと推測されたが、術時間、術後回復期間などにも差がなかった。またPSEを加えてはじめてGV内の血流停滞が得られてB-RTOに成功した症例もあり、PSE併用がB-RTOに有利に働く可能性も示唆された。長期のEV増悪抑制効果も考慮すると、合目的併用治療となると思われた。
索引用語 B-RTO, PSE