セッション情報 要望演題1 「食道表在癌の治療戦略 -ESD・化学放射線療法・外科手術の観点から-」

タイトル

食道表在癌に対する5FU-Nedaplatin/放射線照射による交替療法の治療成績と再発・新病変に対する診断・治療戦略

演者 松島 加代子(長崎大学 医学部 消化器内科)
共同演者 磯本 一(長崎大学 医学部 消化器内科), 中島 悠史郎(長崎大学 医学部 消化器内科), 矢嶌 弘之(長崎大学 医学部 消化器内科), 法村 大輔(長崎大学 医学部 消化器内科), 石居 公之(長崎大学 医学部 消化器内科), 山口 直之(長崎大学 医学部 消化器内科), 大仁田 賢(長崎大学 医学部 消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学 医学部 消化器内科), 水田 陽平(長崎大学 医学部 消化器内科), 河野 茂(長崎大学 医学部 第二内科), 中尾 一彦(長崎大学 医学部 消化器内科), 林 靖之(長崎大学 医学部 放射線科)
抄録 【目的】食道表在癌に対する治療方針は、ESDの普及や腹腔鏡下食道切除術の確立など各治療法の進歩に伴い選択の幅は広がっている。化学放射線療法(CRT)も、根治手術に匹敵する治療法として注目されてきた一方で、切除術と違い治療時に十分な組織学的検証ができないため、特に経過観察の検査体系や再発時の治療法の確立が重要となる。当院における食道癌CRTの治療成績および治療後の局所再発・新病変に対する診断、治療体系を報告する。
【方法】2002年以降に当院で化学療法はNedaplatin/5FU(3クール)と放射線照射(63Gy照射)の交替療法によるCRTを原則として治療した食道癌59例を検討した。内視鏡・CTによる経過観察は3ヶ月に1度、内視鏡検査では、拡大内視鏡観察とルゴール色素内視鏡検査を基本とした。局所の再発・新病変に対するsalvage therapyとしては、IPCLを参考に、m2まではEMRもしくはESD、m3以深では外科手術を原則とした。
【成績】完全貫解率(CR)率は、Stage IVa も含めた全体で32/59(54.2%)であり、表在癌に限定すると、全例(9/9例)にCRが得られた。しかし、CR後に5例(56%、高度異形成を含む)に局所再発或いは新病変を認めた。追加治療法としては、m2までの2例には、EMRを1例に施行、1例は今後ESD予定である。1例は前回照射野からはずれており、追加CRTを施行した。2例では、IPCLでVNパターンを呈しておりsm以深癌が疑われて外科手術を勧めたが、希望によりPDTを施行した。CRT及び追加治療で重要な副作用はみられなかったが、2例(22%)は原病死し、共にリンパ節、他臓器転移を来していた。
【結論】表在癌に対するCRTは良好なCRが得られるものの、比較的高頻度な局所再発が最大の問題である。治療後の詳細な経過観察には拡大内視鏡などを用いた評価が必要であり、再発や新病変をより早期に発見し、患者に侵襲の少ないsalvage therapyを施行することが重要と思われた。
索引用語 食道表在癌, 化学放射線療法