セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 肝切除におけるソナゾイドを用いた術中造影超音波の意義 |
演者 | 永野 元章(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学) |
共同演者 | 近藤 千博(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学), 今村 直哉(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学), 旭吉 雅秀(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学), 長池 幸樹(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学), 内山 周一郎(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学), 大内田 次郎(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学), 甲斐 真弘(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学), 千々岩 一男(宮崎大学 医学部 腫瘍機能制御外科学) |
抄録 | 【はじめに】近年、肝腫瘍の診断においてソナゾイド(ペルフルブタンマイクロバブル)を用いた造影超音波が行われ、その有用性が報告されている。しかしながら肝切除術の際の術中超音波における造影超音波の有用性は未だ明らかではない。今回、当教室での術中造影超音波施行例を調べ、その有用性を検討した。【対象と方法】当科で2008年2月から2009年3月にかけてソナゾイドを用いた術中造影超音波検査を施行した肝腫瘍に対する肝切除症例26例(28病変)を対象とした。男性18例、女性8例で、年齢は12歳から78歳(平均年齢60.5±12.5歳)であった。疾患は肝細胞癌17病変(うち4病変は再発)、肝転移6病変(胃癌1、結直腸癌3、膵癌1、卵巣腫瘍1)、細胆管細胞癌1病変、胆管嚢胞腺癌1病変、胆嚢肉腫1病変、壊死性腫瘤2病変であった。全例術前に血管造影下CTを施行した。超音波装置はALOKA社製prosound α5 SVを用いた。開腹し、腹腔内を観察した後、通常超音波を施行し、その後ソナゾイド(8 ml/ml懸濁液)0.5mlを静脈注射し、血管相とクッパー相で観察した。【結果】全例でソナゾイドによる副作用は見られなかった。術前診断病変は全て術中造影超音波で確認できた。術前診断病変以外の新病変の検出が胃癌肝転移1例で見られた。血管相では、病変の局在診断に有用であった例は1病変のみであったが、クッパー相でほとんど(26病変)が境界明瞭に描出された。しかし、卵巣腫瘍肝転移と肝細胞癌の1病変で造影後に検出困難となった。28病変中11病変(39.3%)で通常超音波より造影超音波のほうがより明瞭に病変の境界が描出され、このうち3例で、術式選択に有用(拡大右葉切除から右葉切除に変更1例、部分切除の範囲決定2例)であった。【考察】今回の検討では、術中造影超音波により、血管造影下CTを含む術前検査とほぼ同等の局在診断力が得られ、1例で術前診断病変以外の新病変の検出が見られた。また、病変の境界が明瞭に認められる症例があり、術中造影超音波の併用により肝切離線の決定や術式の決定に有用である可能性が示唆された。 |
索引用語 | 術中造影超音波, ソナゾイド |