セッション情報 |
要望演題2 「早期胃癌の治療方針 -ESD・腹腔鏡手術の適応と限界-」
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タイトル |
早期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術に限界はあるか?
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演者 |
大垣 吉平(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科) |
共同演者 |
坂本 快郎(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科), 池上 徹(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科), 沖 英次(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科), 南 一仁(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科), 前田 貴司(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科), 坂口 善久(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科), 藤 也寸志(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科), 岡村 健(国立病院機構九州がんセンター 消化器外科) |
抄録 |
胃癌に対する腹腔鏡下手術はその低侵襲性、有用性が認識され普及してきているが、標準化には手術の安全性、根治性が確保される事が必須である。早期胃癌で手術の対象となる症例は主にリンパ節郭清が必要な症例であり、臓器転移や腹膜播種の危険が少ない早期胃癌において腹腔鏡下手術に要求されるものは、開腹手術と比較して同等以上のリンパ節郭清が担保されることである。当センターでは2005年4月より内視鏡的治療適応外のcT1N0胃癌に対してD1+β郭清を標準とする腹腔鏡下胃切除術を導入した。当初は安全性を考慮し症例を選択して行なったが、技術の向上とともに適応を拡大し、現在はD2郭清まで行っている。早期胃癌に対する腹腔鏡下手術の有用性を検証するため、当センターでの開腹手術と比較検討した。対象は2005年4月から2008年3月までに腹腔鏡下幽門側胃切除(LDG)を施行したcT1N0胃癌108例と、導入前の2004年4月から2005年3月までに開腹幽門側胃切除(ODG)を施行したcT1N0胃癌症例33例である。背景因子には差はなかったが、平均手術時間はLDG 300分、ODG 329分、平均出血量はLDG 109g、ODG 448g、また平均術後在院日数はLDG 14.3日、DG 群17.2日とLDG群で良好であった。さらに、平均郭清リンパ節個数はそれぞれ27.8と22.2でありLDG群で多かった。長期予後は未だ不明であるが、LDG群の再発は、pT2(SS)N1で肺転移を来した1例と、pT1(SM)N1で腹膜再発を来した1例のみであり、根治性に問題はないと判断している。一方、手術においては患者体型や病巣の部位などにより適応が制限される場合がある。我々は腹腔鏡補助下手術における小開腹創からの再建の困難性を考慮し、再建を体内器械吻合で行う完全腹腔鏡下手術へ移行した。これにより、患者体型や病巣の位置に左右されない、安全でより低侵襲な手術が可能なり、症例による適応制限もなくなった。早期胃癌に対する腹腔鏡下手術の良好な治療成績を保つためには、安全性を確認した上で、その施設のレベルに応じた適応を設定することが重要であり、技術が伴えば限界はないと考える。 |
索引用語 |
早期胃癌, 腹腔鏡下幽門側胃切除術 |