セッション情報 | シンポジウム 「ESDの治療成績向上をめざして」 |
---|---|
タイトル | 救急医療における消化器医~内科と外科との接点 |
演者 | 吉村 大輔(済生会福岡総合病院 内科) |
共同演者 | 淀江 賢太郎(済生会福岡総合病院 内科), 原口 和大(済生会福岡総合病院 内科), 明石 哲郎(済生会福岡総合病院 内科), 宜保 淳也(済生会福岡総合病院 内科), 牟田 和正(済生会福岡総合病院 内科), 畑 佳孝(済生会福岡総合病院 内科), 高橋 俊介(済生会福岡総合病院 内科), 落合 利彰(済生会福岡総合病院 内科), 壁村 哲平(済生会福岡総合病院 内科), 岸川 政信(済生会福岡総合病院 内科) |
抄録 | 【はじめに】当院は66床の救命救急センターと年間約3500件の救急車搬送実績を有する,福岡市における3次救急の中核病院のひとつである.救急対応をこなす消化器内科医・内視鏡医は7名(消化器内視鏡学会指導医2名,専門医1名)で,夜間休日はこのうち2名が1週間の当番制でオンコール対応をしている.今回は消化器病診療に興味を持つ初期および後期臨床研修医を対象に,救急の現場でよく遭遇する消化管出血と急性腹症について,その初期対応から治療,チーム医療としての内科医と外科医の接点についても症例を交えながら概説する. 【消化管出血】近年の初期臨床研修では検査が優先され,患者の症状・所見を丁寧に把握することが軽視されがちであるが,初期対応の原則は(1)症状,吐下血の性状と色調,詳細な問診により出血部位と鑑別診断を推定し検査法を決定する,(2)ショック状態の評価と補正を適切に行い,安全性を確保すること,である.平成16年4月より平成20年3月における消化管出血に対する緊急内視鏡744症例について,疾患の分布,診断・治療法と転帰を述べる. 【急性腹症】その機転として腫瘍性から炎症性,血行性,原因として消化管疾患から胆膵疾患,婦人科疾患,血管疾患まで幅広いことが特徴で,さらに保存的加療が可能なものから緊急手術を必要とするものまで多様である.従って病歴,症状,所見をより総合的に判断し必要な検査を効率よく行う必要がある.今回はマルチスライスCTのもたらす診断と治療の効率化,特に緊急手術症例の拾い上げについて述べる. 【さいごに】消化器救急の現場は単純に経験と知恵が幅をきかせる世界のように見え,研修医の先生には敷居が高く感じられるかもしれない.しかし我々は一刻を争う現場であるからこそ,一例一例を上記の原則に照らし丁寧に考えながら診療することが結局は時間の効率化へつながると考えている.また外科医との連携なくして救急医療はあり得ない.チーム医療の重要性についても強調したい. |
索引用語 | 消化管出血, 急性腹症 |