セッション情報 一般演題

タイトル

原因不明の消化管出血のため施行したカプセル内視鏡が診断過程で有用であった小腸GISTの1例

演者 福田 浩子(長崎大学病院 消化器内科)
共同演者 大仁田 賢(長崎大学病院 消化器内科), 井上 直樹(長崎大学病院 消化器内科), 石居 公之(長崎大学病院 消化器内科), 中島 悠史郎(長崎大学病院 消化器内科), 矢嶌 弘之(長崎大学病院 消化器内科), 法村 大輔(長崎大学病院 消化器内科), 松島 加代子(長崎大学病院 消化器内科), 陳 俊全(長崎大学病院 消化器内科), 山口 直之(長崎大学病院 消化器内科), 磯本 一(長崎大学病院 消化器内科), 水田 陽平(長崎大学病院 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科), 安部 邦子(長崎大学病院 病理部), 林 徳真吉(長崎大学病院 病理部)
抄録 【症例】81歳女性。2008年1月より貧血を指摘されていた。同年3月に新鮮血下血を認め、近医にて上下部消化管内視鏡検査を施行されたが出血源は認められなかった。保存的加療にて経過をみていたが、4月に再度下血が出現し、大腸内視鏡検査にて回腸末端に新鮮血の貯留を認めたため、小腸出血が疑われ、精査加療目的で当科を紹介された。経口および経肛門的小腸ダブルバルーン内視鏡検査を施行したが観察範囲内に異常所見は認められなかった。その後貧血の進行や下血はみられず、経過観察となった。しかし、10月に再度下血が出現しHb 7.5g/dlと貧血を認めたため、上下部消化管内視鏡検査を施行されたがやはり出血源となる病変は認められなかったため、小腸検索目的で当科入院となった。発症9日目にカプセル内視鏡検査を施行したところ、深部空腸に血液が貯留しており、赤色調の腫瘍と腫瘍頂部からの出血が認められた。その後、経口ダブルバルーン内視鏡検査を施行したところ、深部空腸に3cm大の粘膜下腫瘍を認め腫瘍頂部に潰瘍を形成していた。手術適応と考えられ、外科転科となり小腸部分切除術を施行した。腫瘍は内腔に2.2cm、管外に1.4cm突出しており、組織学的検査の結果、紡錐形細胞が束状に増殖しており、免疫組織学的にはvimentin(+), CD34(+), c-kit(+), S-100(+), αSMactin(-)でGISTと診断した。
【結語】近年、カプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡の出現により小腸における内視鏡的診断および治療は大きく進歩している。今回、出血をきたしカプセル内視鏡が診断過程で有用であったGISTの症例を経験したので若干の考察を含めて報告する。
索引用語 カプセル内視鏡, GIST