セッション情報 一般演題

タイトル

FICE併用拡大観察における大腸腫瘍性病変,非腫瘍性病変の鑑別

演者 松坂 浩史(原三信病院 消化器科)
共同演者 瀧澤 延喜(原三信病院 消化器科), 長田 美佳子(原三信病院 消化器科), 山田 隆史(原三信病院 消化器科), 高橋 誠(原三信病院 消化器科), 兼城 三由紀(原三信病院 消化器科), 中村 典資(原三信病院 消化器科), 千々岩 芳春(原三信病院 消化器科), 河野 眞司(原三信病院 臨床病理部)
抄録 【目的】大腸pit pattern診断が腫瘍,非腫瘍の鑑別に有用である事は多数報告されている.佐野らはNBIで大腸病変を診断するにあたり,腺管周囲を取り巻く網目状血管に注目しCapillary pattern分類(佐野分類)を提唱しており,腫瘍,非腫瘍の鑑別において色素内視鏡とほぼ同等の95.3%の正診率であったと報告している.今回われわれはFICE(Flexible Spectral Imaging Color Enhancement)を併用した拡大観察でCapillary pattern分類(佐野分類)を用い腫瘍,非腫瘍の鑑別を行った後,生検または内視鏡的切除を施行した大腸病変をまとめ,その成績を報告する.
【方法】2008年4月から2009年1月上旬までにFICEを併用した拡大観察でCapillary patternを検討した後に,生検もしくは内視鏡的切除を行い病理組織学的検討が可能であった66病変を対象とし,佐野らの分類に従いCP Type Iを非腫瘍性病変(過形成性ポリープ),CP Type IIを腫瘍性病変(腺腫)に分類しその正診率を検討した.
【成績】全期間での検討ではFICE併用拡大観察でCP Type Iと判断し非腫瘍性病変(過形成性ポリープ)と診断した際の正診率は60.0%,CP Type IIと判断し腫瘍性病変(腺腫)と診断した際の正診率は97.8%であった.前期(2008年4月から10月まで)34病変と後期(2008年10月から2009年1月上旬まで)32病変に分け検討するとFICE併用拡大観察でCP Type Iと判断し非腫瘍性病変(過形成性ポリープ)と診断した際の正診率はそれぞれ27.2%,95.7%,CP Type IIと判断し腫瘍性病変(腺腫)と診断した際の正診率はそれぞれ100%,100%であった.
【考察】後期の成績が良好である要因として観察手技に習熟したこと,2008年11月以降FICEのバージョンアップ,光学系を調整した拡大内視鏡を使用し良好な画像が得られるようになったことが考えられる.
【結語】今後観察条件をさらに改良することでFICEを併用した拡大観察は大腸腫瘍性,非腫瘍生病変の鑑別に有用であると考えられる.
索引用語 FICE, 大腸腫瘍,非腫瘍