セッション情報 | 研修医発表 |
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タイトル | 原発性胆汁性肝硬変経過中に自己免疫性肝炎を発症したoverlap症候群の1例 |
演者 | 安永 有希(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科) |
共同演者 | 長岡 進矢(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 橋元 悟(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 西川 晃子(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), はい 成寛(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 本吉 康英(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 柳 謙二(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 阿比留 正剛(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 小森 敦正(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 八橋 弘(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 石橋 大海(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 伊東 正博(国立病院機構 長崎医療センター 病理) |
抄録 | 【症例】43歳,女性.【主訴】全身倦怠感【現病歴】1995年頃より健診で肝機能異常を指摘されていた.2006年12月頃から徐々に肝胆道系酵素の上昇を認め,2007年3月に初回肝生検を施行,Scheuer stage Iの原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断された. UDCA 600mgの投与開始後,胆道系酵素は正常化していた.2008年3月頃から徐々に肝逸脱酵素の上昇を認め,2008年10月,精査目的で当科入院.【既往歴】慢性甲状腺炎,シェーグレン症候群【入院時検査所見】 Alb 4.2g/dl,T-Bil 0.5mg/dl, AST 290 IU/L, ALT 421 IU/L, ALP 372 IU/L, γ-GTP 169 IU/L, IgG 2400 mg/dl, IgM 324 mg/dl, 抗核抗体<40倍,抗平滑筋抗体<20倍,抗ミトコンドリア抗体160倍,LKM-1抗体<17,HLA-DR8(+)【入院後経過】腹腔鏡下肝生検を施行,肉眼的には赤色紋理を伴う軽度不整肝,肝生検所見では胆管炎に加え形質細胞浸潤を伴う高度な実質炎とinterface hepatitisを認め,自己免疫性肝炎(AIH)にも矛盾しない所見であった.国際診断基準は14点とProbable AIHであり,PBC経過中にAIHを合併したoverlap症候群と診断し,UDCAに加え,プレドニゾロン(PSL)30mgの投与を開始した.その後,肝逸脱酵素は速やかに正常化し,現在PSLは5mgまで減量されるも肝炎の再燃は認めていない.【考察】PBCの経過中にAIHを発症するoverlap症候群は,同時発症例に比べ報告例が少なく比較的稀である.Pouponらは,PBC経過中に約4%の割合でAIHが続発し,AIH診断時には既に半数が肝硬変であったと報告している(Hepatology 2006;44:85-90).【結語】PBC経過中にAIHを発症したPBC-AIH overlap症候群の1例を経験した. PBC経過中に肝逸脱酵素の上昇を認めた場合には, AIHの合併を考慮した診断と治療がなされるべきである. |
索引用語 | PBC, overlap症候群 |