セッション情報 一般演題

タイトル

難治性肝結核を肝切除で治療したAIDS症例の経験

演者 高橋  遼(琉球大学 医学部 病態消化器外科学分野)
共同演者 長濱 正吉(琉球大学 医学部 病態消化器外科学分野), 白石 祐之(琉球大学 医学部 病態消化器外科学分野), 西巻  正(琉球大学 医学部 病態消化器外科学分野)
抄録 【はじめに】沖縄県の平成19年における新規HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者およびAIDS(後天性免疫不全症候群)患者の届出は、人口10万人あたり2.34人で東京都に次いで第二位である。当院はAIDS診療拠点病院に指定されており、今後外科的治療が必要な症例が増加することが予想される。今回私たちは難治性肝結核を合併したAID患者を肝切除でコントロールできた経験をしたので報告する。【症例】50歳台、男性。基礎疾患にAIDS、A型肝炎、高血圧症および胆石症がある。2007年6月頃から倦怠感が出現した。同年11月にHIVに関連したアメーバ肝膿瘍と診断され、当院感染症内科へ精査加療目的で入院した。肝膿瘍に対して穿刺ドレナージ、フラジールを投与し一度軽快したが、12月中旬のなっても微熱が持続し、穿刺液から緑膿菌が検出された。その後も治療を継続したが軽快しないため、手術目的で当科紹介となった。2008年3月上旬に肝部分切除および胆摘を施行した。切除肝の病理標本では乾酪性壊死組織が観察され肝結核と診断された。術後創感染(MRSA)を認めたが保存的に軽快し、3月中旬にAIDS治療継続のため内科転科となった。【結語】AIDS症例は治療が不十分だと感染症に罹患しやすい。その状態では複数の混合感染症が予想され治療に難渋する。今後、私たち外科医はHIVおよびAIDS診療に関して、重要な役割を果たせるのではないかと思われた。
索引用語 AIDS, 肝結核