セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 急性胆嚢炎に合併した胆嚢仮性動脈瘤破裂の1例 |
演者 | 植田 圭二郎(九州大学病態制御内科) |
共同演者 | 松尾 享(九州大学病態制御内科), 立花 雄一(九州大学病態制御内科), 藤森 尚(九州大学病態制御内科), 中村 太一(九州大学病態制御内科), 大野 隆真(九州大学病態制御内科), 河邉 顕(九州大学病態制御内科), 五十嵐 久人(九州大学病態制御内科), 高柳 涼一(九州大学病態制御内科), 伊藤 鉄英(九州大学病態制御内科) |
抄録 | 症例は81歳男性、既往歴に糖尿病、陳旧性心筋梗塞(CABG術後)があり当院循環器内科に通院中であった。当科受診5日前より右側胸部痛が出現し、悪寒、気分不良が認められ、前医にてCRP 39.7mg/dL,BUN 70.8mg/dL,Cr 3.46mg/dL, PLT 5.8万/μLと炎症反応と腎機能増悪を認めたため当科受診となった。腹部エコーにて胆嚢の腫大、胆泥の貯留および、胆嚢結石を認めた。急性胆嚢炎とそれに伴うDIC、急性腎不全と診断し緊急入院となった。単純CTにて胆嚢内腔にairが存在し頚部と胆嚢管に結石を認め、胆嚢壁肥厚と胆嚢周囲の脂肪織混濁を認めた。同日、PTGBDを施行し吸引洗浄し保存的加療を行った。入院25日目頃よりPTGBDドレーンより血性排液が認められるようになり、その後も20ml/dayと少量ではあるが濃血性排液を認めた。31日目には認められなかったが、36日目の腹部エコーにて胆嚢頚部付近に強いドップラーエコーを認める低エコー領域が出現し、腹部造影CTで胆嚢頚部に胆嚢動脈から連続した3.5cm大の造影効果を示す高吸収域を認め、胆嚢仮性動脈瘤と考えられた。動脈瘤は急激な増大傾向にあるため手術を行う方針としたが、37日目にドレーンより急激な多量出血(1000ml程度)を認めた。胆嚢動脈瘤破裂と診断し、緊急血管造影・塞栓術を施行した。胆嚢動脈深枝分岐直後に動脈瘤を認め、遠位側より金属コイルにて塞栓した。胆嚢動脈の近位側より分岐する分枝は温存されていた。その後、壊死性胆嚢炎、再出血、動脈瘤再発等は認めず炎症所見、DIC所見ともに増悪なく状態は安定した。58日目の腹部造影CTでは胆嚢内に動脈瘤は認めず、63日目にPTGBDチューブ造影を行い、胆嚢内腔の狭小化を確認しPTGBDチューブを抜去した。抜去後も腹痛、発熱、出血を認めることなく、経過良好であり89日目に退院となった。本症例では胆嚢仮性動脈瘤の原因として血管の動脈硬化性変化と炎症の遷延が考えられた。急性胆嚢炎を発症後、短期間のうちに胆嚢仮性動脈瘤を形成・増大している。重篤な心疾患のため手術困難であり治療方針決定に難渋した1例であった。急性胆嚢炎後にも胆嚢仮性動脈瘤合併を念頭に置く必要があると思われた。 |
索引用語 | 胆嚢仮性動脈瘤, 胆嚢炎 |