セッション情報 シンポジウム 「ESDの治療成績向上をめざして」

タイトル

大腸腫瘍性病変に対するESDの治療成績

演者 宗 祐人(戸畑共立病院 消化器病センター)
共同演者 小野 陽一郎(戸畑共立病院 消化器病センター), 酒見 亮介(戸畑共立病院 消化器病センター), 佐藤 祐邦(戸畑共立病院 消化器病センター), 高根 順子(戸畑共立病院 消化器病センター), 小野 哲二朗(戸畑共立病院 消化器病センター), 最所 大輔(戸畑共立病院 消化器病センター), 佐々木 英(戸畑共立病院 消化器病センター), 下河邊 正行(戸畑共立病院 消化器病センター), 森光 洋介(戸畑共立病院病理), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院病理)
抄録 【背景】当科での大腸ESDの適応病変は、一括切除を要するがEMRでは一括切除が困難な内視鏡治療適応病変としている。よって、LST-NG病変、LST-G(mix)や瘢痕を伴う病変のみならず、病変部位や腫瘍径によっては肉眼形にこだわらず積極的にESDにて切除している。【目的】当科にて施行された大腸ESD症例の治療成績を明らかにし、その有用性を検討する。【対象と方法】2003年10月から2009年2月までの期間にESDを施行した大腸腫瘍73病変 (腺腫:36病変、m,sm1癌:32病変、sm2以深癌:5病変) を対象とした。検討項目:肉眼形態、病変部位、平均腫瘍径、平均切除標本径、一括切除率、一括完全切除率、合併症の発生率について検討した。【手技の工夫】局注液はグリセオールを使用し、時にヒアルロン酸ナトリウムを併用した。全例にアタッチメントまたはSTフードを装着。全周切開は基本的に行わず、1/4周程度周囲切開後に粘膜下層の剥離を行い、いち早くスコープが粘膜下層に潜り込める様にした。また、体位変換にて重力を利用し剥離をすすめ、ある程度剥離した後に全周切開を加え病変を切除した。デバイスは主にFlushナイフを使用し、症例によってはHookナイフの使用やスネア併用切除もおこなった。また、送気は炭酸ガスを使用した。【成績】肉眼形態:LST53、IIa(+IIc)10、Ip4、Is(+IIc)4、Isp2病変。病変部位:盲腸2、上行結腸17、横行結腸5、下行結腸11、S状結腸17、直腸21病変。平均腫瘍径:35.9±18mm(10-100)、平均切除標本径:43.7±19mm(17-115)であった。一括切除率は96%(70/73)、一括完全切除率は86%(63/73)であった。合併症:術中穿孔を6例(8.3%)に認められ、1例は外科手術、他の5例はクリッピングにて保存的に改善した。穿孔した6例中3例が高度線維化を伴う症例であった。また、止血処置を要した後出血を1例に認めた。【結論】ESDの導入により大型大腸腫瘍に対しても一括切除が可能となりESDは有用な治療法であると考えられた。また、手技や工夫の実際をビデオで供覧する。
索引用語 ESD, 大腸