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タイトル

2度目の同種造血幹細胞移植1年8カ月後にHBV再活性化による急性肝炎を発症した1例

演者 西川 晃子(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科)
共同演者 阿比留 正剛(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 福田  慎一郎(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 後藤  高介(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 橋元  悟(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), はい 成寛(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 本吉 康英(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 長岡 進矢(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 柳 謙二(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 矢野 公士(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 小森 敦正(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 八橋 弘(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 石橋 大海(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科)
抄録 【症例】45歳、男性。2000年急性骨髄性白血病(AML M4)を発症し、2001年HLA full match donorより骨髄幹細胞移植を受けた。移植前のHBVマーカーはHBsAg、HBsAb(-)、HBcAb(+)、HBeAg(-)、HBeAb(+)。移植後はGVHD等の移植合併症を認めず、免疫抑制剤(FK506)を漸減し、2004年3月FK506投与中止した。2005年AML再発を認め、2006年3月HLA full match donorより2度目の骨髄幹細胞移植を受けた。2度目の移植前のHBVマーカーはHBsAg(-)、HBsAb(-)、HBcAb(+)、HBV-DNA陰性。移植後に急性GVHDは認めず、免疫抑制剤(FK506)を漸減した。経過中に頚部丘疹、眼瞼結膜発赤、涙液減少など慢性GVHDを疑う症状が出現したが自然軽快したため、FK506減量を再開した。2007年12月定期受診時の血液検査でAST 121IU/l、ALT 236IU/lとトランスアミナーゼ上昇を認め当科紹介。HBsAg(+)、HBsAb(-)、HBcAb(CLIA) 2.59s/co、IgM-HBc27.6s/co、HBeAg(+)、HBeAb(-)、HBV-DNA≧7.7logcopies/mlからHBV再活性化による急性肝炎と診断した。ETVを導入後ウイルス量は低下し、軽度のトランスアミナーゼ高値は持続しているものの、肝炎は安定化している。
【考察】造血幹細胞移植やリツキシマブ使用、全身化学化学療法等の免疫抑制状態下でのHBV再活性化はよく知られている。造血幹細胞移植後のHBV再活性化は、14~50%程度と報告されている。またHBV再活性化を来さない例においても、HBsAbや抗体値低下が起こることが報告されており、当症例においても1回目の造血幹細胞移植後にHBsAb消失を認めている。造血幹細胞移植後のHBV再活性化について、文献的考察を含めて報告する。
索引用語 HBV再活性化, 同種造血幹細胞移植