セッション情報 研修医発表

タイトル

イマチニブ服用中に心不全をきたした胃GISTの1例

演者 安田 恵美(済生会八幡総合病院 臨床研修部 )
共同演者 折田 博之(済生会八幡総合病院 外科), 橋本 健吉(済生会八幡総合病院 外科), 野本 健一(済生会八幡総合病院 外科), 島 一郎(済生会八幡総合病院 外科), 磯 恭典(済生会八幡総合病院 外科), 松股 孝(済生会八幡総合病院 外科)
抄録 【はじめに】イマチニブの開発により消化管間質腫瘍の治療成績は飛躍的に向上したが、Neoadjuvant therapyとしての位置づけや副作用対策など治療における問題点は残されている。今回胃の巨大GISTの切除後早期の再発例に対しイマチニブ投与を行ったところ、心不全を発症した1例を経験したので報告する。【症例】症例は81歳男性。食欲不振と体重減少があり近医を受診したところ胃に最大径20cmの粘膜下腫瘍を発見され、腫瘍内の潰瘍からの生検でKIT陽性の紡錘形細胞が認められGIST と診断されて当院を紹介された。CTなどでは脾臓への浸潤が疑われたが遠隔転移の所見はなく切除可能と考えられたため、まず手術を行った。手術所見では播種や肝転移の所見はなかったが脾臓と横隔膜へ浸潤し脾門部での処理が困難であったため、近位側胃切除と膵尾部、脾臓、横隔膜の一部を合併切除した。切除標本の病理組織学的検索からhigh grade groupのGISTと診断された。術後Performance Statusの回復を待ってイマチニブ治療を開始することとしたが、治療開始まで3ヶ月を要した。イマチニブ投与直前のCT検査で、肝転移や横隔膜での局所再発が認められた。高齢で患者の希望もありイマチニブ 300mg/日から開始したが投与開始1ヶ月弱で心不全を呈して再入院となった。術前の心機能検査では心不全の徴候はなくイマチニブによる心不全とも考えられたが、薬物療法により心不全のコントロールを行いながらイマチニブ投与を継続し、腫瘍の縮小効果が得られている。【まとめ】腫瘍径が20cmと大きく高齢でもありMarginally resectableと判断してイマチニブによるNeoadjuvant therapyを考慮すべきであったと反省された。術後再発治療としてのイマチニブを投与中に心不全を合併したが治療の継続は可能であった。
索引用語 GIST, グリベック