セッション情報 一般演題

タイトル

十二指腸乳頭部切除術後晩期に、膵炎を契機に発見した迷入膵管チューブを内視鏡的に回収し得た1例

演者 久賀 征一郎(久留米大学 医学部 消化器内科)
共同演者 岡部 義信(久留米大学 医学部 消化器内科), 加治 亮平(久留米大学 医学部 消化器内科), 石田 祐介(久留米大学 医学部 消化器内科), 白土 睦人(久留米大学 医学部 消化器内科), 木山 雅晴(ヨコクラ病院胃腸科), 御鍵 和弘(久留米大学外科), 木下 壽文(久留米大学外科), 鶴田 修(久留米大学 医学部 消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は71歳、男性。十二指腸乳頭腺腫に対して2004年11月19日に外科的に経十二指腸的乳頭切除術が施行された。術後4か月目に十二指腸狭窄を発症し保存的に軽快した既往がある。以後、近医で不定期に経過観察されていた。2008年12月28日心窩部痛が出現し、急性膵炎の診断で近医へ入院となった。絶食・輸液管理・膵酵素阻害剤投与による保存的加療で膵炎は速やかに改善したが、腹部CTで膵頭体移行部付近の主膵管内にチューブ影を認めた。4年前の手術時に留置した膵管ロストチューブが自然脱落することなく膵管内へ迷入したものと考えられ、内視鏡的回収目的で当科入院となり、3月17日にERPを施行した。十二指腸内スコープ操作の安定感が悪かったため、まずERP施行後guide wireを膵管内に留置した。チューブは膵頭体移行部の主膵管内に迷入していたが、尾側膵管の拡張は軽度であり、主膵管内にスペースなく存在していた。胆道生検用細径鉗子(ハウエル胆管鉗子, Cook Medical社製)を主膵管内へ慎重に挿入し、乳頭側チューブ端の把持に成功し回収した。抜去後、再度膵管造影を行ったところ、膵頭部主膵管に軽度の狭窄を認めたが、膵液の流出は良好であり手技を終了した。以後、特に合併症なく経過し3月20日退院となった。膵管ロストチューブは吸収糸で固定しているため、通常3~4週間で自然脱落する。本症例は、術後に切除部肛門側に一過性の十二指腸狭窄を来しており、このことが自然脱落を妨げた可能性があると推察された。また、膵管内迷入チューブの内視鏡的回収には、既存のデバイスを状況判断に応じて駆使する必要がある。今回我々は、十二指腸乳頭部切除術後晩期に、膵炎を契機に発見された迷入膵管チューブを内視鏡的に回収し得た1例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 膵管チューブ, 内視鏡的回収